内容説明
文体や語彙の主役交替―。明治・大正の総合雑誌にみる、近代書き言葉の曙光。
目次
第1章 近代書き言葉の成立事情(明治の書き言葉;文字・表記の書き換え ほか)
第2章 口語体書き言葉の成立(話し言葉と口語体書き言葉;演説と雑誌 ほか)
第3章 言葉の栄枯盛衰(語と語彙;漢語と和語 ほか)
第4章 言葉の縄張り争い(周辺語化と基本語化の本質を探る;「あらわす」「あらわれる」にあたる漢語群 ほか)
第5章 現代書き言葉へ(大正末期の書き言葉;文語法の残存 ほか)
著者等紹介
田中牧郎[タナカマキロウ]
国立国語研究所言語資源研究系准教授。1962年島根県生まれ。1989年東北大学大学院文学研究科博士課程後期退学。昭和女子大学専任講師、国立国語研究所言語問題グループ長などを経て2009年から現職。専門は日本語学(日本語史・語彙論)。現在は主に、コーパス構築による日本語史研究と、難解用語の言語問題の研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
5
図書館にて。2013年刊行。著者は国立国語研のひとで、コーパスつくりを行なっている。『太陽コーパス』は雑誌『太陽』を用いたもの。1895年(創刊の明治28年)、1901年、1909年、1917年、1925年(大正14年)をサンプルにしている。創刊時はほぼ文語体の記事、大正末にはほぼ口語体となる(もう文語体は俳文や暦など定型的なものだけ)。口語体の形成に大きな影響を与えたのが演説の速記。句点読点が欠かせず、文末がはっきりする。創刊時、「でござる」は廃れており、「です」は確立しきっていない。2020/09/08
samandabadra
1
表紙の絵とタイトルを見たときには関連性が分からず不思議だったが、『太陽』という雑誌のコーパスから見た、20世紀初めの日本語の形成と変化の歴史を研究したということで納得した。文語調から口語調に文章が変わっていく様がはっきりと表れていて非常面白かった。2016/06/22
こたろう
0
よくあるコーパス分析の本。頻度をメインとして周辺語の関連などを分析している。対象としているコーパスが「太陽コーパス」という古いコーパスであるのが特徴的。それをもとに言葉の変化について書いてある。 国語研の人の国語研のコーパス紹介という雰囲気を感じた。2023/05/09
いすみ
0
卒論の参考として読了。 太陽コーパスの利便性がよく理解できた。 他の言葉と関係を築けた言葉が基本語となり、関係性が薄い言葉は周辺語となってしまうのは、まさに生きているなあと感慨深い。2019/09/24