内容説明
わたしたちが普通だと思っている標準語の所作はずいぶんと丁寧で堅苦しくはないだろうか。「敬して避ける」ための敬語はあっても、「親しく交わる」ための言葉は育まなかつた。「作法」に寄りかかってきた日本語のここ百年をたどり、成熟した「親しさのコミュニケーション」への変化のきざしを見いだす。
目次
第1章 どこにもない「標準語」(風の又三郎と標準語;標準語の抽象性 ほか)
第2章 日本語の“あいさつ文化”(朝起きたら「おはよう」でしょう!;あいさつしたら友だちできるよ! ほか)
第3章 コミュニケーションをとらえる(媒介としての言語;近きは賤しく、遠きは貴し―穂積陳重の呼称論 ほか)
第4章 時空を旅してみれば(江戸庶民のコミュニケーション;あいさつしない中国語? ほか)
第5章 日本語は親しさを伝えられるか(五〇年後の五〇年;日本語のいまと親しさの言葉 ほか)
著者等紹介
滝浦真人[タキウラマサト]
放送大学教授。1962年岩手県生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科言語学専門課程博士課程中退。専門は言語学、とくに語用論と対人コミュニケーション論(ポライトネス論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
♪みどりpiyopiyo♪
54
敬語は人間関係の上下を単純化し安心感を与える一方で、相手を敬して遠ざけるものでもあり、日本語は親しさを伝える術が未熟だからどーしたらいいかしら?的なお話。面白かった♪ ■この本は、日本語の分析や他言語との比較が論理的なので、挨拶や敬語や他言語の習得に躓きやすい理系脳や自閉症などの人達を導くヒントにもなると思います。敬語に悩む人には橋本治もお奨め☆ http://bookmeter.com/cmt/57358763 ■そして、個人的にずっと模索してきた「親愛の敬語」は日本語の不得意分野なのだと納得しました。2017/02/08
の
4
敬語も様変わりして行くのかもしれません。とくにネット社会は敬語の形を飛躍的に変質させそう。2013/10/17
白い雲。。
3
標準語についてあまり考えたことがなかったので面白かった。確かに、昔からの方言の言い方とずいぶん違いを感じる。これからも言葉は生活とともに変化していくのだろうと、ちょっと楽しみに思う。2017/03/02
mine
3
人を褒めることは、私の基準にあなたはそぐいますよということでもあるので時に失礼に響く。とか、ポライトネスの専門家が比較的身近な例をとって説明するスタイルの割と読みやすい本2016/09/02
じゃじゃじゃ
3
丁寧に話すこと、つまり敬語を使うことによって相手との距離を保つことが、近代的にできたものだということが(丁寧に!)解釈されており、普段とは違う側面から敬語を見るのによいのではと思いました。歴史的な話がメインですが、同シリーズのズの他の本を読んでみた限りでは、シリーズの特徴なのかもしれません。
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