岩波人文書セレクション
知の失敗と社会―科学技術はなぜ社会にとって問題か

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  • サイズ B6判/ページ数 331,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000285636
  • NDC分類 504
  • Cコード C0336

出版社内容情報

原発問題をはじめ科学技術にかかわる社会問題の多くは,科学技術の問題である以上に,それに関わる人間の内面や社会のしくみの問題にほかならない.身近な具体例を素材に,科学・技術・社会の境界面で発生する多様な出来事を一貫した視点で捉え,科学技術が社会問題になる地

内容説明

原発をはじめ科学技術にかかわる社会問題は、科学技術の問題である以上に、人間の内面や社会のしくみに深く関係している。身近な具体例を素材に、科学・技術・社会の境界面で発生する「構造災」を科学社会学の視点から一貫して捉える先駆的な力作。専門知が社会問題に転化する地平を浮き彫りにし、問題解決の糸口を探る。

目次

1章 天災と人災のあいだの失敗―事故はなぜなくならないか(科学技術は善か悪か;一九世紀の爆発事故―「知の失敗」とは何だろうか;二〇世紀の墜落事故―「知の失敗」を産出し続けるシステム;リスク論批判)
2章 科学技術政策のジレンマ(知の隙間をどうみるか;科学技術政策をつくっている言説;議論は巡る―科学技術決定論と社会決定論の循環;科学技術複合体と問題の全体像)
3章 科学技術複合体への期待と成果の落差の社会的意味(新エネルギー技術開発の登場―OPECとOTEC;日本のOTEC開発過程;不確実性と意思決定―エネルギー問題と地球環境問題の光と影;進べきか、留まるべきか―OTEC再登場の文脈)
4章 ためにする知をこえて―「知の失敗」の克服のために(学際研究の通念につきまとう幻想;閉じたエリート路線―あるSTS;閉じた大衆路線―もうひとつのSTS:専門家と非専門家の合作の条件)
5章 自己言及・自己組織型の提言(テクノクラシーから距離をとる;テクノ・マスデモクラシーから距離をとる;足下からの制度再設計への提言;じわり型問題への提言―原子力とGM作物)

著者等紹介

松本三和夫[マツモトミワオ]
1953年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学博士(東京大学)。東京大学教授、オックスフォード大学セントアントニーズカレッジ上席客員研究員、エジンバラ大学ゲノム政策研究所招聘研究員などを経る。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は、科学社会学、災害社会学、技術の社会史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ktytnd

2
科学技術は必然的に不確実性を持ち、意思決定において失敗を伴いがちである。そうした失敗を回避するには、複数の選択肢を用意し、透明性と情報公開を心がけるべき、ということ。2014/06/08

壱萬弐仟縁

2
2002年初出。大東亜共栄圏は国家権力者による妄想だっただろう。日本人は放射能の人体実験をされている。科学技術を提供した科学者倫理が問われる。知の失敗とは、構造災によって継続被害を受け、臨海で自壊する可能性を孕む科学・技術・社会系(26ページ)。原発が竜巻に襲われれば放射能竜巻と化すのか。考えただけで恐ろしい。評者からすれば、知の失敗とは不遇なオーヴァードクターが各分野で溢れかえっている日本社会の現況を指すと思えた。科学社会学の立場から、自然科学者と社会科学者が協力して構造災から生命を守ることが不可欠だ。2013/01/16

plegiussalignis

0
科学の失敗は科学者の責任なのか?まさにそこを問うている一冊。2013/04/04

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