岩波人文書セレクション
ヨーロッパ精神史入門―カロリング・ルネサンスの残光

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  • サイズ B6判/ページ数 204p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000285537
  • NDC分類 130
  • Cコード C0310

出版社内容情報

近現代ヨーロッパの哲学者たちの起源を中世に求める.精神史における斬新な時代区分を提起し,これまで知られることの少なかった中世哲学の課題と成果を,現代で問いなおす.近現代の文学世界のイメージにも広く言及した本書は,哲学へ向かう若い世代への挑発に充ちた25の講

内容説明

若い世代に挑戦する「入門」の書として哲学者・坂部恵(1936-2009)が掲げる、野心的な25講。

目次

時代の危機と歴史観の転換―クルティウスとホフマンスタール
神の闇
ラテン世界の称揚
W.ジェイムズのエリウゲナ
テオーシスあるいはデイフィカチオ
小宇宙―人間が動物であること
レアリスムスのたそがれ
個体と共通本性
ホイットマン―類種を宿す個
個と知を絶する深みと〔ほか〕

著者等紹介

坂部恵[サカベメグミ]
1936‐2009年。東京大学哲学科および同大学院修了。東京大学教授、桜美林大学教授を歴任。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

14
1995年に東京大学で25回続いた講義を元にした、とても読みやすい随想的な一冊。しかし、読みやすいからといって内容が易しいわけではないので要注意。キリスト教神秘主義と西洋哲学史にそれなりに親しんでいないと、何を言っている本なのかよく分からないだろう。「ライプニッツは千年単位の天才、カントは百年単位の天才、とわたくしがつねづね暴言を覚悟でくり返すゆえんです」(P.96)とあるが、既存の歴史的くびきから自由になり、ヨーロッパ思想について考え直すヒントに満ちている。巻末の文献一覧からさらなる読書の旅に出よう!!2019/06/12

ぷほは

7
もう何度読んだか分からない。20歳の頃「カントかフーコーを読みたい」と先生に言い、本書がテキストに選ばれた。思想史や文化史、観念史や社会史でなく、精神史。この意味が分かったのは院に入った後だった。フーコーが暴いた人間学のまどろみ、その条件をカロリング朝から追想することで、ハイデガーやデリダが示した「光の闇」まで手が届く。エリウゲナ、十字架のヨハネ、エックハルトなど人間諸科学が忘れてしまった名前に多く出会えるだけでなく、エリオット、ホイットマン、ボードレール、ヒュームらの詩作から得られる響に気が遠くなる。2021/07/06

hitotoseno

6
ヨーロッパ精神史入門っていうとやっぱりギリシャ・ローマから始まるのかね、と思わせておいてクルティウスとホフマンスタールから始まる構成がなんとも渋い。その後もイスラームやスペイン、ドイツ神秘主義へと続いていくから、言ってみれば裏哲学史といったところか。しかし、本書を読んでみればデカルトやらヘーゲルなんて所詮哲学史の上澄みでしかない、と気付くだろう。彼らはそれまでの思想を総合することに長けていたが、その裏には数多の哲学者による営為があったのだ。2016/02/16

Haruka Fukuhara

5
…この人の本はこれで本当にしばらく見納め。気になって図書館で予約して読んでみたけど、どれも難しかった。この本は講義を基にしているらしく比較的とっつきやすかったかもしれないけど、読み始めたらあまり興味のない分野だったしそこまで惹かれる言葉にも出会わなかった。2017/03/01

amanon

3
実際の講義を基にしたというだけあって、その流麗な語り口の文体に引き込まれてつい読み進めてしまうが、実は内容はかなり高度。また、哲学は勿論のこと、十字架の聖ヨハネなどのキリスト教神秘主義者や英米文学者の文章までが引用され、著者の幅広い教養に感心させられる。ただ、多岐に亘る専門用語や人物が頻出しているのだから、できれば詳細な注釈を付けて欲しかった。後、一応は哲学科のマスターを修了している者として、あまりに基礎を疎かにしてきたということを本書を読んで改めて痛感させられた次第。日を改めてじっくり読み返したい。2014/08/18

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