出版社内容情報
哲学は,《悪》の問題にどのように迫り得るか.スピノザ,シオラン,リクール,レヴィナス,D.H.ローレンスらとの思想的対話を通して,関係の解体,存在の欠如・過剰,穢れ,権力といった観点から見えにくくなった悪の問題を根本的に問い直し,『悪霊』『白痴』などの独創
内容説明
哲学は、“悪”の問題にどのように迫り得るか。スピノザ、シオラン、リクール、レヴィナス、D・H・ローレンスらとの思想的対話を通して、関係の解体、存在の欠如・過剰、穢れ、権力といった観点から、見えにくくなった悪の問題を根本的に問い直し、『悪霊』『白痴』などの独創的な読解によるドストエフスキー論を展開する。
目次
第1部 なぜ悪の哲学なのか(悪の哲学は可能か―悪の哲学・序説;悪の魅力と存在の過剰;きれいはきたない―生の“イリヤ”と穢れ;祓われる罪/透明化する悪;「黙示録」と権力本能)
第2部 ドストエフスキーと悪(『悪霊』の世界と「黙示録」;二人の反ヒーローと理不尽な“世界”―「大審問官」と決疑論(上)
神の義と人間の救済―「大審問官」と決疑論(下)
悪のブラックホール―“パテーマ大全”としての『白痴』(上)
イノセンスの弱さと強さ―“パテーマ大全”としての『白痴』(下))
著者等紹介
中村雄二郎[ナカムラユウジロウ]
1925年東京生まれ。哲学者。明治大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
3
『臨床の知とは何か』で既知の著者による本。シロアリはゴキブリから分化(6ページ)。如何にも生命力の強い人類には厄介な存在。善は同一だが悪は個性的(8ページ)。「自殺という行為は、不条理に対する人間の最後の手段」(72ページ)。にもかかわらず、昨今も経済苦で孫を殺害する祖父。居た堪れない。民俗の理解ではケの日常態(101ページ)。ハレでは理解できない部分を重視。ケ→ケガレ→ハレ→ケの循環(102ページ)。苦痛と恐怖を克服することこそ人間の真の課題(164ページ)。東大話法を使って嘘をつく人に読んでほしいな。2013/01/16