内容説明
留学先のロンドンで世紀末思潮を堪能した夏目漱石。花の芳香や水底への憧れ―漱石がとりわけ深い関心を寄せたラファエル前派、アール・ヌーヴォー、印象主義の美術に、漱石文学の耽美的想像力の原点をたどる。「世紀末」という精神現象のなかで、生の深奥をみつめる夢幻派漱石の広がりが鮮やかに浮かび上がる。これまでの漱石研究に挑むべく周倒な調査に大胆な推論を重ねて描き出された、斬新で刺激的な漱石像。サントリー学芸賞(1994年)受賞作。
目次
序説 「世紀末」について
第1章 近代日本文学と「世紀末」
第2章 漱石文学における「世紀末」
第3章 世紀末芸術と美的体験
第4章 ラファエル前派的想像力―ヒロインの図像学
第5章 世紀末的感受性―水底幻想
第6章 浪漫的魂の行方―『薤露行』から『草枕』へ
第7章 絵画と想像力―『夢十夜』の場合
補論 住まいの風景―『門』における空間の象徴的描法
著者等紹介
尹相仁[ユンサンイン]
1955年韓国生まれ。漢陽大学校国際文化大学日本言語文化学科教授(近現代日本文学・比較文学)。西江大学韓国文学科を卒業し、1985年から1991年まで東京大学大学院(比較文学比較文化専攻)に学ぶ。同大学院で学術博士の学位を取得。ロンドン大学客員研究員を経て、1992年から漢陽大学校国際文化大学日本言語文化学科に在職。東海大学特任講師、国際日本文化研究センター外国人研究員を歴任。現在、漢陽大学校世界地域文化研究所所長、ソウル大学日本研究所発行『日本批評』の編集長をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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