出版社内容情報
植民地期ビルマに生きた人々は、宗主国イギリス、占領者日本にどう向き合い、いかに独立を達成したのか。「抵抗」か「協力」かではとらえきれない、彼らのしたたかなナショナリズムから、近代ビルマ史を論じ直す。
内容説明
植民地期のビルマに生きた政治・行政エリートは、宗主国イギリス、占領者日本にどう向き合い、いかに独立を達成したのか。初代首相バモオ、国民的英雄アウンサン、その「暗殺者」ウー・ソオ、そしてコミュニストやエリート官僚たちの歩みをたどり、「抵抗」か「協力」かではとらえきれない、彼らのしたたかなナショナリズムから、近代ビルマ史を論じなおす。
目次
序章 抵抗と協力のはざま
第1章 強制された国家のなかで―植民地ビルマの特徴とナショナリズムの展開
第2章 バモオ―知識人政治家の光と影
第3章 アウンサン―国民的英雄への道
第4章 ウー・ソオ―ナショナリストと暗殺者のはざま
第5章 ビルマ人コミュニスト―反日と「苦渋の親英」のはざま
第6章 ビルマ人高等文官―対英協力者とナショナリストのはざま
終章 独立後の英国・日本との関係―軍の政治的台頭のなかで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
19
英国式支配で、少数精鋭のエリート行政官が統治。宗教中立政策も支配の特徴(27頁)。バモオは史上初のビルマ人首相として組閣(58頁)。アウンサンはスーチー氏の父(113頁)。彼女からすれば、父が政治的に柔軟な判断ができる人間だったとみなしている。左翼文献の読書会もタキン党の内外で開催された(163頁)。私は政治的意図はないが、個別に本の付加価値を高める学習支援を行いたい。 2014/10/26
Alcazar
1
ビルマの各指導者達が国内国外両者への対応を迫られ、抵抗と協力のバランスを舵取りしていく様が分かる。授業同様におもしろいが、頭を使うことは間違いない
denken
1
ちゃんと名は体を表す題名ですので,現代ミャンマーを知る手がかりとしては,同著者の『アウン・サン』の方が,比較的すっきりわかると思われる。主に,第二次世界大戦の際,それぞれの人物が,どのように立ち回ったかの描写に割かれている。『アウン・サン』では,南機関が印象深かったが,この本で印象に残ったのは,マウントバッテンである。アウン・サンを知りたいなら断然,『アウン・サン』をお勧めする。2011/02/06