出版社内容情報
アジア・太平洋戦争の敗戦後,兵士たちは復員し,市民として社会の中に戻っていった.戦友会に集う者,黙して往時を語らない者……兵士としての不条理な経験は,彼らのその後の人生をどのように規定していったのか.「民主国家」「平和国家」日本の政治文化を底辺からささえ
内容説明
アジア・太平洋戦争の敗戦後、生き残った兵士たちは復員し、市民として社会の中に戻っていった。戦友会に集う者、黙して往時を語らない者…兵士としての不条理な経験は、彼らのその後の人生をどのように規定していったのか。「民主国家」「平和国家」日本の政治文化を底辺から支えた人びとの意識のありようを「兵士たちの戦後」の中にさぐる。
目次
序章 一つの時代の終わり
第1章 敗戦と占領
第2章 講和条約の発効
第3章 高度成長と戦争体験の風化
第4章 高揚の中の対立と分化(一九七〇年代‐一九八〇年代)
第5章 終焉の時代へ
終章 経験を引き受けるということ
著者等紹介
吉田裕[ヨシダユタカ]
1954年埼玉県生まれ。東京教育大学文学部卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。一橋大学大学院社会学研究科教授。日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひかりパパ
12
本書は、敗戦後生き残った兵士が市民としてその後の人生をどう生き、どう意識が変化したかを記録した労作である。兵士が戦争の加害者として証言するのに一定の時間が必要だったことが分かった。変化の兆しは1972年の日中国交回復実現以降で、戦争責任問題が自覚されるようになった。時の経過が重い口を開かせる様になったのは70年代後半で、兵士の高齢化による『遺言』としての性格を帯びてきたからである。戦後日本が相対的に軽軍事化を維持できた理由の一つが、兵士たちの戦争観が社会に浸透していったからという著者の指摘に納得した。2020/04/21
Toska
4
実際に兵士として戦った「戦中派」の戦後史を振り返った労作。日本の戦後処理には多くの問題があり、加害の事実を突き詰められなかったという批判的な見方を基調としつつも、無闇に糾弾するのではなく、戦中派の心の動きや葛藤に寄り添う気持ちが強く感じられる。1954年生まれの著者が、父親世代の戦争体験に向き合うことができなかった自責の念が根底にあるのだという(後書き参照)。その戦中派ジュニア世代もそろそろ社会の第一線から退こうとしているのか…2021/08/22
みさと
3
戦場での悲惨な経験を抱えたまま、誰にも言えずに黙ったまま、日本の敗戦後も生き続けた元皇軍兵士たち。彼らの戦争は1945年8月15日を境に終わった訳では決してなかった。遺族や元上官に対する遠慮から口をつぐんできた彼ら。元高級将校や元参謀たちが記述する戦史に納得できず、反発を覚えながらも決して口を開いてこなかった彼ら。敗戦から50年・60年もたってから、せめて死ぬ前に本当の事を残しておきたいと重い口を開き始めた彼ら。何が彼らをして沈黙させ、また何十年もしてから語らせたのか。日本社会の変化とともに追っていく。 2019/05/07
ゆきのん
1
「兵士の死をいたずらなる美辞麗句で称えることは戦没者に対する心からの慰霊にはつながらない」=「顕彰」を不可分の要素とする靖国神社的な慰霊観からの離脱 アジア解放の為の、自衛の為の戦争だったと自分たちの行為を正当化したいのは、神社を支えていた人たち。戦友会その他の団体がどんどん解体している今なら、しがらみから解放されて「慰霊」するだけの神社になれる。政治利用されることなく静かに祈る場所になってほしい。 2019/01/26
けぬけぬ
1
分厚いが読みやすかった。元兵士たちが老いていく中で過去の戦争に対する認識が変わっていく過程に興味を持った。2012/05/01




