感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
9
図書館にて。再々読(5年前と10年前に読んだ)。「子曰」の訓読について。〈第一章で、『論語』の「曰」という文字が、日本の伝統訓読では「いわく」であったり、「のたうばく」(尊敬)であったり、「もうさく」(謙譲)であったりする例を見た。〉これは自分と相手の上下関係によって言い方を適切に使い分けねばならない日本語の特徴によるもの▲「三年学、不至於穀、不易得也」(泰伯編)。半直読半翻訳の近代訓読法では「コクにいたらざる」となるが、注には穀は善とあり、「よきにいたらざる」と読む。これが訓読みというものである。2021/05/03
KAZOO
9
この本は半分くらいが、論語に関する学問の系譜を研究したものになっています。あとの半分は論語の解釈研究で一つの言葉についての解釈がかなり深いものがあります。宮崎市定さんの論語の研究書とはまるっきり趣を異にした感じです。このような論語研究書もあってもいいのかなとも感じました。2014/02/17
さとうしん
7
特に第Ⅰ部で、鄭玄・何晏・朱熹といった歴代の解釈者は『論語』をどう読んできたかを扱うが、『論語』に限らず経学とはどういうものか、古典を読むとはどういうことかを示している。現代日本では一般に否定される、解釈者の政治思想が『論語』の解釈を左右するという営みをネガティブに評価していないようであるのが面白い。2019/04/20
kenitirokikuti
3
5年前に読んだものの再読。『論語』を読むなら、完全に朱子準拠の倉石訳しかない、とあって買い求めたのだった。最近のトレンドは孔子を戦国春秋時代を生きた、人間・孔丘を書くやつだが、それは歴史学であって、書物としての『論語』の研究ではない▲おまけとして、「孝」が大事と著者は言う。頼りにしたりされたりするのは、まぁ、近く親しい人間なのが普通だ、と。2016/06/26
石光 真
1
第一部が論語の解釈の歴史。 第二部第一章異なる解釈で読む『論語』は、学易、不至於穀、君子儒、澹台滅明、素以為絢、陽貨、夢見周公などに関する正反対の解釈たち。 第二部第二章『論語』と中国社会 中国の個人から家族、宗族という濃淡を、契約による神や国家デフォの西洋、滅私で団体重視の日本と対比させている。 暴君庸主なら適当に逃げろという孔子の現実主義。2024/04/04