出版社内容情報
アリストテレスの哲学は、中世イスラームの思想世界にどのような化学反応を起こしたのか。それはまた、西洋中世に移入されていかに変奏されたのか。イブン・シーナー(アヴィセンナ)の哲学、および西洋の注釈者たちの理解を基軸として、創造的な誤読と転釈のプロセスを追う。世界像の基盤を据えた、ダイナミックな文化接触の運動。
内容説明
イブン・シーナー(アヴィセンナ)とその周辺に担われたアリストテレス哲学の受容のダイナミックスを追う。
目次
序章 存在論と論理学のはざま
1 哲学の伝統
2 霊魂論
3 真理論・認識論
4 存在論
討議 誤訳の創造性―アリストテレスの受容と変容
著者等紹介
竹下政孝[タケシタマサタカ]
1948年生まれ。専攻、イスラーム哲学・神秘主義思想。東京大学大学院人文社会系研究科教授
山内志朗[ヤマウチシロウ]
1957年生まれ。専攻、中世哲学。慶應義塾大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Z
9
イスラム圈と西洋の中世哲学を纏める本。比較的分かりやすくまとめていていい本だと思う。ヨーロッパではローマ帝国崩壊の混乱でアリストテレスの著作は残らなかったが、イスラム圈にアリストテレスの著作が渡り、豊かな思想の実りをもたらした。1.aとは何か?(本質を聞く)2.aがあるか?(存在を聞く)。アラビア語にはbe動詞がない。よって存在の意味に本質が含まれないという傾向が生まれた。最大の収穫はアヴィセンナ(この時代、イスラム圈の最大の哲学者の一人)の思想が知れたこと。この手の本は少ないのでなかなかいい本と思う。2018/05/22