内容説明
作為無作為の混濁に、彷徨い、眠り、目覚め、落ちる、掌編六編。
著者等紹介
日和聡子[ヒワサトコ]
1974年島根県生まれ。詩集『びるま』で中原中也賞(2002年)受賞
金井田英津子[カナイダエツコ]
1955年生まれ、版画家。国内外で作品を発表するかたわら、本の装丁・装画を手がける。長谷川摂子『人形の旅立ち』の挿絵で第一八回赤い鳥さし絵賞(2004年)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
50
金井田さんの画目当てで読んだ1冊。詩人である日和聡子さんの文章は時には柔らかくしなやかだったり、また情熱的であったり女性らしさが心地よい言葉となって綴られていて心に響いてくる。たとえば、「溶けかけた雪の道が、じゃくじゃくと鳴った。」や「淡いぼんぼりの灯が眼をとろかすよう。」や、抱きしめられることを「私も巻かれるままに巻かれていた。」などと表現されているのがキュンとするほど好きだ。挿画との相性も良く6篇それぞれの世界が楽しめるが、お気に入りは表題作の「瓦経」。2016/07/13
ユカ
41
図書館で。夢のなかのような、不思議なできごとや場面転換があり、違う世界に行った感じがする本でした。超短編が6本だけど、それぞれ一部つながっていて、お話のしりとりみたい。最後のほうになるほど不思議感が増していきますが、6話めの異様な感じは結構嫌いじゃないです。この本もまた挿絵がかっこいいです。2014/06/28
まさ
35
日和聡子さん2冊目。この方の文章、掴みにくいけどやっぱり好きだなぁ。黄昏時のような判別の難しい曖昧な世界に引き込まれます。読み終えたときは夢から覚めたときのように残像だけがある世界。泉鏡花や内田百閒の作品を読んでいるときと似たような感覚かな。金井田英津子さんの画と相まって、素敵な時間をいただきました。2019/06/18
小夜風
30
【図書館】初読み作家さん。冒頭から漢字が読めなくて、そのことにショックを受けながら、振り仮名が一切無いので、もう開き直って読めない漢字を調べることも楽しみながら読みました。まるで明治の近代文学作家が書いたような文体に、どんなおばあさん作家かと思ったら、自分より年下で、それにも衝撃を受けました(笑)。つい最近、金井田英津子さん画の「夢十夜」を読んだばかりだった為か、とても「夢十夜」と印象が似ていると思いました。つまり、大好きです♪日和聡子さんの他の作品も読んでみたくなりました。2015/10/25
たまご
29
しっとりとした,裏に中間色の複雑な感情がまじった不穏さをひめた,不思議な世界のなかを,連れてこられて引っ張られて漂うような.それは現実であっても,ふとした言葉やものの見方の違いから,簡単にその世界に引き込まれてしまうものなのですね. 画と文章のマッチの仕方もステキな,本当に上品な大人の絵本という感じです. 素敵でした.2018/03/15