内容説明
政府による社会政策が、家族や企業、NPOなどの制度・慣行と好適にかみ合ってはじめて、誰もが公平に良質なケアを受けることが可能となる。病院、NPO、生協、ケア産業、第三者評価機構、地域社会など、さまざまなセクターでの実践例を紹介。その分析を通して、日本の「福祉混合」の最適化の方向を提言する。
目次
福祉の最適混合を目指して
地域でターミナルケアを支える―ケアタウン小平の取り組みから
先進ケアを支える福祉経営
NPOの実践からみえるもの
介護NPOの達成と課題
生協の介護事業
介護施設の福祉経営論
ケア産業論
ケアの人事管理―雇用管理と報酬管理
介護事業と第三者評価
ケアのための空間
市民セクター福祉を育てる
ともに生きる社会と福祉の町づくり
住民参加による地域福祉の実現
著者等紹介
上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は社会学(ジェンダー研究)。女性学のパイオニア、フェミニズムの旗手として知られる。女性の抱える問題から、近年は家族、ケア、老い、福祉へと研究を拡げ、現代社会の問題を幅広く問い続けてきた
大沢真理[オオサワマリ]
1953年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。社会政策、とくにその比較ジェンダー分析を専門とする。政府の政策だけでなく、協同組合や社会的企業などの非営利協同の営みを含めて、生活保障システムを国際比較する共同研究を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
1
タイトルが示唆するように、制度的な話題が多く、同シリーズ中の中でもやや内容が硬めだったが、概ね興味深く読めた。個人的にとりわけ興味深かったのは、介護事業におけるNPOの存在と可能性。「自分達で何とかしなければならない」という思いが大きな成果と変革を生むというプロセスは何とも言えず胸がすく。また逆に秋田県鷹巣市における「日本一の福祉」が崩壊していくプロセスには憤りとやるせなさを感じざるを得ない。本書が出て、後、介護における人材不足の問題で、介護職のマイナスイメージばかりが強調されるのが気になった。2016/08/01