出版社内容情報
日本人はあいまい? 「おばさん」とはどの年齢層? きっぱりと線引きできないことがらをいかに考えるかは、世界観に関わる重大事です。ファジィ理論、不確定性原理、散逸構造など、20世紀はこの〈あいまいさ〉の領域に画期的な表現を与えてきました。それらがどういう文脈で花開いた考え方であり、どんな帰結を含んでいるのか、読者と共に考えます。
内容説明
「日本人は「あいまい」か」という問いに対する答は、はっきり「イエス」のようだ。…「あいまい」を否定するというよりは、むしろ愛おしむ傾向が多くみられる。善か悪か、真か偽か、是か非か、一か〇か、といった西洋的な二元論で物事の価値を決めてしまうのではなく、どちらともつかない答を再評価しようとする動きが読み取れる。…ファジィ理論、不確定性原理、散逸構造…「人間の顔をした科学」入門。
目次
第1章 そもそも「あいまい」って何だろう―“多義性”「あいまい」は曖昧に使われてきた
第2章 境界が「あいまい」―“漠然性”何歳からが「おばさん」か
第3章 「あいまい」を制御する―“多値性”コンピュータを使いやすくする
第4章 「あいまい」でない科学論―“必然性”時計仕掛けの世界
第5章 「あいまい」な未来―“蓋然性”それでも宝くじを買うか
第6章 「あいまい」にしか調べられないミクロの世界―“不確定性”世界観が変わる
第7章 「あいまい」から秩序が出現する―“多様性”不可逆性が生命を産み出した
第8章 「あいまい」に始まって「あいまい」に終わる―“不可知性”宇宙の前に時間があったか
著者等紹介
米沢富美子[ヨネザワフミコ]
1938年大阪府生まれ。専攻、理論物理学。京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。慶應義塾大学名誉教授。この間、72‐75年までニューヨーク市立大学客員研究員を務め、96‐97年女性として初の日本物理学会会長に就任する。一貫して進めてきたアモルファスなど不規則系一般の研究によって、76年手島工学研究賞、84年第4回猿橋賞、89年科学技術庁長官賞、2005年ロレアル・ユネスコ女性科学賞など、輝かしい受賞歴をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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