感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
12
文学テクストが読者との間でどのような作用を起こすのか。20世紀後半に強い影響を持った読者論のひとつ。抽象的な用語と指示代名詞の多さに幻惑されてなかなか理解に苦しむ。わかったのは文学の素材、「レパートリー」が現実の世界と過去テクストの二つに大分されること、テクストの空隙を重要視することあたり。後半のジョイス、ベケットを用いた「第二の否定」概念が大事だと思うのだが、まだ噛み砕けていない。ただ、自分が読書してるときの体験をイメージ化するのには役立つ。読み込む価値のある本だと思う。2018/12/19
とんこつ
6
文学作品には作者の秘められた意図があるといった旧来の文学研究観や、作者と作品を徹底して切り離した新批評主義などの後にやってきたのが、ヤウスやイーザーらコンスタンツ学派が牽引する読者論である。彼らの主張は作品(テクスト)は読者に読まれることによって初めて成立するということである。それでは読者はどのようにして作品を成立させていくのか、また成立した作品は読者にどのような影響を与えていくのか、読者と作品間の双方向作用を分析したのが本書になる。イーザーは読者の作品参加にあたって空白と否定の概念が鍵になると説く。2016/10/18
きつね
4
昔よりわかったきがする。が、相変わらず不明な点が多々。訳者あとがきによると訳が意訳というか、細分化された概念をあえてはしょったりしてある模様なので著者による英訳を読んでみようかとおもいまする。 とくにわざわざふっさーる語をつかうあたりがなにしたいのかよくわかりません。2014/12/02
Go Extreme
1
問題領域ー文学の解釈は意味論と語用論のどちらにかかわるか 部分芸術対普遍的解釈 作用美学理論のための予備考察 機能史から見た文学のテクストモデル: テクストのレパートリイ テクストのストラテジー 読書の現象学: テクスト理解の行為 読書家庭における受動的綜合 テクストと読者の相互理解: テクストと読者の不均衡 構成行為の推進力 受容美学と美的作用理論が求めるもの求められるもの2022/07/20
aabbkon
0
言っていることはもっとも。それを詳細に記述していく。しかし文学理論が、先行の理論を否定しながら、その否定した理論に擦り寄っていく典型に見えてしまった。2013/06/21