内容説明
ルネサンスや宗教改革と並んでヨーロッパ近代の幕開けを告げ、現代の科学技術文明の礎を築いた一七世紀科学革命。本書は、この自然に関する知識の巨大な構造変動を「革命」として理解することの意味から説き起こし、新たな機械論哲学が従来の自然観に代わって台頭した経緯を、当時の文化的社会的脈絡に着目する研究を踏まえて概観する。魔術や宗教との関係に加えて、政治やジェンダーとの関係など、近年のテーマにもふれながら、科学とは何かをその成立現場に遡って考えるための手がかりを与える。
目次
第1章 科学革命と科学史の記述
第2章 ルネサンスと革命
第3章 科学的方法
第4章 魔術と近代科学の起源
第5章 機械論哲学
第6章 宗教と科学
第7章 科学と文化―より広い視点から
第8章 結論
著者等紹介
ヘンリー,ジョン[ヘンリー,ジョン][Henry,John]
イギリス、エディンバラ大学助教授(Reader)
東慎一郎[ヒガシシンイチロウ]
1971年生まれ。科学史・科学思想史。東海大学専任講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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春ドーナツ
13
ウンベルト・エーコの「前日島」を再読して中世の魅力を思い出した。関連本を探して読む日々がここのところ続いている。書名には科学が使われているけれど、当時の自然哲学の紆余曲折がコンパクトにまとめられている。近代科学との間には断絶(特異点)がある。歴史は不連続なのだ。レコンキスタによってアラビア語に訳されたアリストテレスの著作を西欧の人々は再発見する。知識の源泉は聖書とその注釈書に限られていたので革命的な出来事だ。比較による相対化を通じた解釈の自由奔放さが私にとっての中世の魅力だと思う。魔術と宗教と科学の融合。2023/02/15
Go Extreme
1
科学革命 近代科学 ヨーロッパ史 概念的基礎 方法論的基礎 制度的基礎 16世紀~18世紀 成果の整理 本質の多様性 起源 原因 歴史家 現実的根拠 自然哲学 科学 用語の混同 自然界 理解 描写 ホイッグ主義 コンテキスト ガリレオ 星界の報告 天文学 宇宙論 科学的方法 コペルニクス理論 数学の認識論 ケプラー 惑星の軌道 楕円軌道 新天文学 速度の変化 ハーヴィー 血液循環 生理学 パドヴァ大学 解剖 魔術 経験主義 実験哲学 ベイコン 観察 実験 社会的背景 自然哲学者 機械論的世界観 時計製造2025/02/12
ダージリン
0
大陸とイギリスの対比など興味深い観点が多かった。政治状況、社会情勢などと絡めて多面的に論じてあり、読み応えがあった。2011/08/28
hika
0
17世紀の文化、政治、経済、宗教の中での「自然哲学」「科学」についての平易でバランスの良い通史。科学を通じて17世紀という時代の面白さについても触れることができる2009/03/30