内容説明
ソ連邦崩壊以降、「スターリニズム」という言葉は以前にも増して侮蔑と非難を込めて使われがちである。この言葉を歴史学上の概念として学問的に使用するために、押さえておくべき点は何か。本書は、スターリニズムをソ連の政治・経済・文化・社会生活の四分野において区別して特徴づけたうえで、それらを重層的に捉える視点を提示する。
目次
第１章 スターリニズムの歴史的起源？（ロシアの後進性；レーニン主義；人格的要因）
第２章 スターリニズムの確立（「上からの革命」；文化革命 ほか）
第３章 大戦と盛期スターリニズム（戦時経済；文化的動員 ほか）
第４章 スターリニズムの特質（起源の問題）
終章 スターリニズムの遺産（公的な場でのスターリニズム；スターリニズムの構造上の帰結）
著者等紹介
ギル，グレイム［ギル，グレイム］［Ｇｉｌｌ，Ｇｒａｅｍｅ］
オーストラリア、シドニー大学教授
内田健二［ウチダケンジ］
１９４９年生まれ。ソ連政治史・ロシア政治論。現在、大東文化大学教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らっそ
5
人となりを知りたくなった2018/07/21
バルジ
3
今ではすっかり批判的意味合いで使用される「スターリズム」をコンパクトに論じた1冊。本書ではスターリニズムを①政治②経済③社会④文化の4つの側面から検討し、各分野で顕著に現れた「スターリニズム」の相貌を描いている。政治的なスターリニズムはフルシチョフによぅて葬られたが、その他の3つは結局ソ連崩壊まで大きく崩されることなく、ソ連の社会的文化的構造を決定づけたと論じる。完全な全体主義国でもなく、少なくない人民がスターリニズム全盛期を自発的に支えていた事実は注目に値する。2019/11/24
可兒
3
体制のなかのスターリニズムに目が行った。ひょっとすると、ヨシフ・ジュガシビリとスターリンは違うものだったんじゃないだろうか2013/01/25
千瑞
3
政治、経済、文化、社会生活それぞれにおけるstalinismと、それらがからみ合ってソヴィエトやポスト・ソヴィエトに多大に影響した体制としてのStalinismについて。いくつかの選択肢の中で、ある一つの政治的選択をした主体の存在と、その意図と結果は必ずしも一致しない、など。勉強になりました。2012/03/16
hika
2
イメージだけが先行しがちな、「スターリニズム」の歴史学的概念や研究史についてコンパクトに整理されている。ソ連の中央と末端の政治力学も興味深い。2009/03/25
