出版社内容情報
文化と政治に対する飽くなき探究により西洋の支配が生みだす知の言説装置を暴きだしたサイード.その取組みの軌跡を,フーコーやグラムシの文化理論との影響関係を見据えつつ歴史記述と表象の問題から照らしだす.
内容説明
批判的知識人としてラディカルな姿勢を貫き、文化と政治に対する飽くなき探究によって西洋の支配が生みだす知の言説装置を暴きだしたサイード。われわれの文化や歴史の理解に対し決定的に新たな認識の枠組みをもたらした知的取組みの軌跡を、フーコーやグラムシとの影響関係を見据えつつ歴史記述と表象の問題から照らしだす。
目次
サイードと歴史の記述
解説(渦を作る、そして中心に(富山太佳夫)
読書案内(富山太佳夫))
著者等紹介
ワリア,シェリー[ワリア,シェリー][Walia,Shelley]
インド、パンジャブ大学準教授。ポストコロニアル理論。Between History and Truth(Sterling)ほか
永井大輔[ナガイダイスケ]
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。19世紀アイルランド史
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感想・レビュー
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★★★★★
2
歴史家としてのエドワード・サイードとその言説を、フーコーとグラムシからの影響を軸として分析した本。小著ながらもなかなか示唆的な一冊でした。2009/01/19
鬼束
0
小著ながら、サイードの思想が端的に纏まっており、また彼の思想における問題点も指摘しており十分な内容であった。西洋中心主義的ヘゲモニーによる歴史理解の中に立ち現れる東洋とは、ある意味で西洋が自己として認めたがらないものの代理として表象されてきたらしい。それは、残虐性であり、肉欲であり、頽廃なのである。このような西洋の自己自身にある醜悪な部分を反映して神話的に語られてきた東洋という構造の解体を志向するサイード。彼の試みは、パレスチナからアメリカに亡命した知識人という特異な立場からこそ、なしうるものだろう。2013/10/21