出版社内容情報
EUやASEANなどの地域共同体による地域統合を促進、あるいは停滞させる要因は一体何なのか? 主権国家の意思あるいは市場主導のネットワークに焦点をあてる既存研究に対して、異なる階層の主体が関係を紡ぎながら相互作用し、政治経済的地域統合のダイナミクスを決めるという視点を重視した、地域統合の分析や可能性を論ずる。
内容説明
自国中心主義や反EUポピュリズムの台頭、ブレグジット、南シナ海紛争、いわゆるロヒンギャ問題など、地域統合の「つまずき」ともいえる現象が起きている。第3巻では、国家主体間の対立と協調に焦点をあてる既存研究に対し、「マクロ的主体(国家を超えた政治経済的な地域統合の機運や枠組み)」・「メソ的主体(国家)」・「ミクロ的主体(産業団体や民族集団、企業、政治家など)」といった階層の異なる主体間の相互作用が、地域のダイナミクスを決めるという視点から、地域統合の深化と停滞を論じる。
目次
地域統合におけるマクロ的主体・メソ的主体・ミクロ的主体
1 貿易・資源・企業(地域経済統合が重層化する理由―アジア太平洋地域から考える;日中韓経済連携の可能性;国際化する偽造品貿易―地域統合を扇動する国際貿易;企業の異質性と地域統合についての実態分析―日本の海外進出企業を中心に;新たな政治経済エネルギー移行における炭素資源の役割)
2 地域統合と国家(アフリカ地域主義の世界―五本のスレッドを読み解く;だれが中東地域を「統合」しうるのか―中東地域における主体の多義性;「主権国家」の合理性と政治統合―ASEANと南シナ海問題;ASEANの縮図としての多民族国家ミャンマーの統合と開発;ブレグジット時代のヨーロッパ地域統合―「中心」と「周辺」の関係性から)
3 関係理論から見た統合と分裂(ポジティブ公共システム理論と地域統合―日本内外の関係論的な多層的・多次元的分析;なにが統合と分断を促すのか―地域統合のテキスト解析)
著者等紹介
石戸光[イシドヒカリ]
1969年生。千葉大学大学院教授。国際経済論
鈴木絢女[スズキアヤメ]
1977年生。同志社大学教授。東南アジア政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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