平和国家のアイデンティティ

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  • サイズ A5判/ページ数 350p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000270335
  • NDC分類 309.021
  • Cコード C0320

出版社内容情報

保革のねじれ、戦前・戦中の隠れた継承関係を抉りながら、「平和国家」像の源泉を辿る。

内容説明

「敗戦国日本は平和国家へと転換した」―いささか食傷するほど語られてきたこの常套句は、果たして本当にそうであったのか?戦後論壇を彩った名著から浮かび上がるのは、戦前のアジア主義の残滓が陰に陽に影響を及ぼしながら、帝国主義とアジア主義、冷戦構造、果ては世代の問題まで、さまざまな対立軸が織りなす、保守と革新の入り組んだタペストリーであった。平和の理想(革新勢力)と現実(保守勢力)との二項対立的な図式を超えて、21世紀の「平和国家」の拠って立つ地盤を模索するための、今なお新鮮さに満ちた13篇を収録。

目次

1 終戦から講和へ(国際民主生活の原理(一九四六年)
文化国家の理念(一九四六年)
三たび平和について(一九五〇年))
2 革新ナショナリズムの形成(二つの世界とアジアの課題(一九五一年)
世界史における現代のアジア(一九五五年)
革新ナショナリズム試論―新たな国民像を求めて(一九六〇年))
3 現実主義論争とその背景(中立日本の防衛構想―日米安保体制に代るもの(一九五九年)
現実主義者の平和論(一九六三年)
日本民族について(一九六四年)
憲法第九条をめぐる若干の考察(一九六五年))
4 変容する思想空間(東京裁判・戦争責任・戦後責任(一九八四年)
日本はみずからの来歴を語りうるか―「世界史の哲学」とその遺産(一九九〇年)
なぜ、平和のリアリズムか―『平和のリアリズム』序(二〇〇四年))

著者等紹介

酒井哲哉[サカイテツヤ]
東京大学大学院総合文化研究科教授。日本政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mealla0v0

4
本書の最後に置かれた藤原帰一は、戦後日本が現実主義と理想主義に分裂してきたと診断する。が、その診断はむしろ藤原の言説によって完成された。そこから遡ること40年、理想主義者は革新ナショナリズムを背景に自衛隊を国連軍に編入することを語り、現実主義者は価値なき現実主義を批判した。本書に収められた論文は、戦後日本の言説空間から左右ともに何かが欠落していき、今ある何者かに縮減されていった過程である。したがって、現代の言説的窮状の打破には失われていった言葉を鍛え直す必要がある。そのような意図のもとでシリーズを読む。2021/10/16

てれまこし

4
日本の国際思想は、西洋中心の近代とどう向き合うかという問題と切り離してはありえなかった。この西洋中心の国際社会への同化を求める戦前・戦後のリベラル派に対して、京都学派から今日の歴史修正主義者まで「近代の超克」という使命を日本に課そうとする潮流があった。そこには「アジア」というものの中に「西洋近代」に代りうるものを見出そうとするアジア主義的な側面がある。自分なども柳田国男にこの京都学派的な意図を読み込もうとしていた。柳田もまた「世界史像の自主的形成」を国民的習慣とするという関心を共有してたから誤りではない。2020/04/06

numainu

3
評価B2016/08/03

2
終戦直後から現代までの、日本の平和論や外交論などについての論文を集めた本。編者のコメントを参照しつつ、著名な学者たちの論を比較しながら読むことができ、おもしろい。 個人的には、丸山眞男、坂本義和、高坂正堯らの議論をもう少し詳しく比較検討してみたい。2017/01/06

マウンテンゴリラ

1
戦争によって人命が失われることがない状態を平和と定義するならば、戦後70年以上にわたり、日本は平和であったと言えるのだろう。たとえそれが、隸従という代償のもとに保証された平和であったとしても。しかし、たとえそれが形の上ではあてがわれたものであったとしても、その外観自体が問題なのではないだろう。本書を読んで、まずもって理解し、感じたことは、表層的議論ではなく、日本人自身が、内発的に平和をどのように捉え、どのように構築していこうとしたかということが、しっかりと議論されているということであった。→(2)2018/04/15

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