思考のフロンティア<br> 難民

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思考のフロンティア
難民

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  • サイズ B6判/ページ数 178p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000270052
  • NDC分類 369.38
  • Cコード C0310

内容説明

20世紀は難民の世紀であった。そもそも難民とはどのような存在であるのか、どのように発生してきたのか。難民というものを、外部にいるのではなく、必然的に私たちの内側に抱え込まれている存在と考えるとき、国民国家の境界線を乗りこえてやってくる者たちに対し友愛や歓待は可能だろうか。グローバル化のなかで、その定義を再考察する。

目次

1 現代の人間の形象としての「難民」(「難民」と国家の「主権」;「主権国家」から「国民国家」へ;ベンハビブの「権利」の概念)
2 難民とは何か(難民条約と難民;避難、流難、耐難―パレスチナ問題によせて;日本人と難民)

著者等紹介

市野川容孝[イチノカワヤスタカ]
1964年生まれ。東京大学大学院社会研究科博士課程単位取得退学。専攻は、社会学。東京大学大学院総合文化研究科准教授

小森陽一[コモリヨウイチ]
1953年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻は、日本近代文学。東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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寛生

41
【図書館】僕も難民なんだと認知するしかない。小森がアガンベンを引用しながら議論を展開しているのが興味深い。小森はアガンベンほど剥き出しの生、ホモ・サケルを表に出していない印象をもつ。が、所謂「日本国民」だからといって「難民」でない訳ではないし、日本国内での「難民」は数えきれないほどいるー派遣からネットカフェまで。僕も日々痛みを持って感じることは、どこそこの国で生まれて、その国の国民だからというきれいな一直線上には、「人間である」という域が、哲学的議論から日常的感覚まで、今日我々の中に大変欠落していること。2014/09/09

Mealla0v0

4
小森陽一は、アガンベン、アレントを念頭に、国民国家と難民問題の機制を論じている。WWIを念頭に、主権的締め出しによる剥き出しの生としての難民の発生過程を検討したあと、それが国民国家成立時の少数民族支配に同様の問題を見る。そして、「諸権利を持つ権利」についての思索が練られていく。他方、市野川は難民が持つ言葉の響きを検討する。難民とは、①受難民、②避難民、③流難民、④耐難民の位相にそれぞれ属する。特に興味深いのは、「満州難民」のくだりだろう。国民国家内での難民。今後、棄民を社会学で論じる上で読むべきテキスト。2017/12/23

ねこ

4
卒論のため。素晴らしい。2016/01/14

きゃのん

4
前半の章で、市民資格を政治的・経済的権利に分割することによる「脱国民国家」化の希望(言い過ぎ?)を見出していたヨーロッパだが、現在ではシリア難民問題に直面し、連帯は破綻しかけているように見える。この中で、日本に何ができるのか、、。最後、「国境を絶えず揺さぶり、相対化する回路を持ち続けること」が大切という結論。岡真理さんの本にも、自己の相対化の重要性があった気がする。そうすることが、他者の存在に目を向ける一歩なんですね。2015/10/09

牛タン

0
内容:(市野川)国民国家の誕生と難民問題。(小森)日本語における「難民」ということば2015/10/01

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