世界歴史選書
中世農民の世界―甦るプリュム修道院所領明細帳

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 237,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000268424
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0322

出版社内容情報

逸失した9世紀の所領明細帳原本と伝来する13世紀写本,そして筆写者の心性と現実.永年,本史料と取り組んできた著者がその精緻な分析で史料に潜むダイナミズムを読み解き,西欧中世農村像を描き直す.

内容説明

一三世紀、引退した元修道院長カエサリウスは所領明細帳の筆写をしながらかつての修道院領に思いを馳せていた―今日まで伝来する写本と逸失した原本、そして筆写時点での現実とカエサリウスの心性。土地と農民を記録する所領明細帳に潜むわずかな裂け目から、史料の力をいかに引き出し、どう読み解くか。荘園制、共同体論、ピレンヌ・テーゼ、封建革命など、西欧中世史をめぐっては活発な議論が行われてきた。これらの枠組みを検証しつつ、賦役・農民経営・流通の面から中世初期農村社会の実態を探る。その具体的な記述と緻密な分析から浮かび上がる変容のダイナミズムは、わたしたちに「停滞する農村」像の書き替えを迫る。

目次

中世初期社会経済史をどう見るか
第1部 甦るプリュム修道院所領明細帳(プリュム修道院所領明細帳とカエサリウス写本;カエサリウス写本は一三世紀の所領明細帳だったか;カエサリウスの注は一三世紀の史料か、九世紀の史料か;プリュム修道院所領明細帳に追加部分はないか)
第2部 プリュム修道院領の農民経済―中世初期農村への動態的アプローチ(賦役労働の実態―定量化へ、具体化へ;マンス制度と農村の活力―分数マンスの動向から;商品の流通と貨幣の使用、そして都市への展望)

著者等紹介

森本芳樹[モリモトヨシキ]
1957年東京大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得修了。現在、久留米大学比較文化研究所教授・九州大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

m.murasaki

1
プリュム修道院所領明細帳に付随する史料批判の歴史が知識不足もあいあまってなかなか読みがたかったです。修道院の荘園経営に付随して、貢納の運搬組織が生まれ、商業貨幣経済が発展、修道院都市が形成されていくという、動的な農民の発展というのは読んでいて面白かったです。さらに不便だろうからと修道院に造兵所の許可が下りるというのはちょっとびっくりですね。でも実際貨幣が作られたかどうかは物的証拠はないみたいですけど。2011/08/30

0
今のドイツにあった(のか今でもあるのかよく分からないけど)プリュム修道院で9世紀末に書かれた所領明細帳という領民が領主(ここではつまり修道院)に納めるべき税の内容を領地内の地方ごとに具体的に記したもので1マンス(農地の面積の基本単位らしい)持ってるごとに豚何頭だ卵いくつだ、賦役労働は週に何日だ、というのを記した物をさらに13世紀に書き写し注釈をつけた物(原本は消失)を読み解く本みたいです。ただ原本がない&写本という事で注釈は9世紀末に対してか写した当時に対してか?とか解釈が単純にはいかない物の様でした。2017/04/22

まさる

0
西洋中世の共同体を記述した書物は多くあるが、本著は修道院所領明細書に重きを置いて記述されていることを特徴に上げられる。本著は史料そのもの検証に1部を使用しており、中世共同体の研究書物としてだけではなく、史料に対する「史料批判」姿勢の重要性についても学ぶ事ができる2014/05/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/175522
  • ご注意事項

最近チェックした商品