出版社内容情報
ヘーゲルの論理学とは,単なる思考の規則や形式についての学ではなく,存在論でもあり体系的方法論でもある.当時の哲学や科学思考への批判的考究が体系的で抽象化された論述のうちに緊密に撚りあわされてゆく本書は,ヘーゲルの弁証法の特質をはっきりと提示している.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
3
マルクスについて書くことが禁じられたなかで、ヘーゲルについて書くことでマルクスの思想を書こうとした人々がおり、その流れの中で読む。難しいのは、世界生成以前のいわば宗教的な領域、世界生成後の人間誕生以前の世界のあるいは自然の論理、かつ人間誕生後の人間の論理と様々なレベルが錯綜しているために、一巻のほうがわかりずらい。質から量への転化までが扱われており、マルクスでいうと交換価値までを扱っている。のち度量の成立が扱われるので、一般等価形態、あるいは社会の成立が前提とされ、抽象性が薄くなるのを祈っていざ次の巻へ2015/02/04
黄泉
1
大論理学に向かうことは通常の読書とは違い、自分自身の中で思考展開を繰り返しながら、鈍重に歩みを進めていくことを強いられます。理解したはずの事柄が進むにつれて崩壊し、何度も振り出しに戻されながら、何日も同じセンテンスを考え続け、ある時、ある一瞬に理解が閃くような展開であります。 この上巻の1は「有」の展開であり、私のような凡人には極めて難解な内容でありますが、思考の中に別の世界を構築して、その中で自分自身を論理学そのものと化す意識により、難攻不落のヘーゲル論理学を4分の1まで進める事ができたと考えます。2014/04/05