出版社内容情報
このあまりにも有名な著作はどのように読まれてきたのか,また現代思想とどのようにかかわるのか.『方法序説』のテキストに即し,その成立と近代哲学を開いたデカルト思想の全体系の地平を平明に読み解く.
内容説明
ヨーロッパ近代に思想的な地平を切り開いたデカルト。『方法序説』―このあまりにも有名な著作がどのように書かれ、その背後にどんな世界があり、そして今日までどのように読まれてきたのか。また現代思想とどのようにかかわるのか。『方法序説』のテキストに即しながら、デカルトその人の思索とその哲学の論理を分別しながら、その思想の全体系のあり様を平明に読み解いてゆく。現代のデカルト入門の一冊。
目次
第1章 デカルトの生涯と『方法序説』
第2章 『方法序説』の読まれ方、魅力
第3章 書物の学問を捨てて、旅に出る
第4章 学問の方法と生き方のモラル―炉部屋の思索
第5章 コギト、二元論、自然
補遺 『方法序説』と現代哲学
著者等紹介
谷川多佳子[タニガワタカコ]
1948年、東京生まれ。フランス近代哲学を専攻。筑波大学教授(哲学・思想学系)
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感想・レビュー
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うえ
8
「直観の深さ、鋭さ、素晴らしさをデカルトにみて、小林秀雄は、この直観には現代的教養といった特殊な知識は必要ない、と断言します。…小林秀雄は細かい点にもいくつか触れて…思考を実践し、新しい創造的な思想をつくりあげ、学問を変えていったデカルト自身と、できあがった知識としてそれを受け取り議論する人たちとの間に、大きなずれがある、と…指摘」「ヨーロッパのさまざまなデカルト批判も、デカルトそのものへの批判は少ない…有名なヴィーコの批判も…当時のデカルト主義や、デカルトとして受け入れられた知識だけを批判しています。」2021/11/08
nranjen
4
授業の予習に読んだ。非常に整理されていてわかりやすい。ほかの哲学者との兼ね合いも簡潔に説明されている。良書。2018/04/08
zratranics
2
キリスト教世界をひっくり返そうとしているのではなく、あくまで自らの学問に対する方法・態度を説明している・・・という書き方になっているのは、同時代にガリレオの地動説裁判があったから。書き進めていた「世界論」を出版することはなく、「屈折光学」「気象学」「幾何学」の各論を発表。そのあたりの意味・時代背景がわかって面白かった。2023/02/04
ヒ
2
ずっと昔方法序説を読んだ時にも思った気がするが、まず懐疑において「(自分の身体等が)存在しないと仮定する」という設定が意味不明で、誰かに教えてもらいたい2019/06/02
それん君
2
方法の規則(p86) 第1 明証性の規則→偏見、速断を避ける。明確なもの以外は判断に含めないこと。 第2 分◯の規則→? 第3 総合の規則→わかりやすいものから難しいものへ。 第4 見直し、 良識と学問(p56) ①「良識はこの世で最も公平に分け与えられている」→近代民主主義の基礎 ②「良い精神を持っているだけでは十分ではなく大切なのはそれを良く用いることだ。」 ③「旅にあまり出すぎると自分の国で異邦人になってしまう」→ex)「アメリカがこうだから〜」「欧米がこうだから、〜」論法?