出版社内容情報
ラテンアメリカにおける抑圧と貧困に対する抵抗から生まれた新たな福音の書.「新しい霊性」(個人の回心)と同時に人間同士の不正な関係の是正と,それをもたらした社会構造の変革を,実践をふまえて力強く呼びかける.
内容説明
ラテンアメリカにおける抑圧と貧困に対する抵抗から生まれた新たな福音の書。「新しい霊性」(個人の回心)と同時に人間同士の不正な関係の是正と、それをもたらした社会構造の変革を呼びかける本書の力強い訴えは、今日における人間の解放の意味と具体的実践の道を模索する人々に、多くの示唆と励ましを与える。
目次
第1部 神学と解放(神学―批判的考察;解放と発展)
第2部 問題提起(問題;さまざまの解答の試み ほか)
第3部 ラテンアメリカ教会の選択(ラテンアメリカにおける解放の過程;解放の過程における教会 ほか)
第4部 展望(信仰と新しい人(解放と救い;歴史における神との出会い ほか)
キリスト教共同体と新しい社会(教会―歴史の秘跡;貧しさ―連帯と抗議))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
owlsoul
10
弱者救済を教義の根幹に据えるキリスト教。ラテンアメリカの貧民街において、その信仰は左翼的政治運動へと接近する。貧困にあえぐ人々の救済に尽力する司祭たちは、やがてこの社会構造自体に内在する搾取という「悪」と対峙することになり、そんな「悪」との闘争は否が応でも政治運動の様相を呈していく。キリストは我々を罪から解放する。後進国に必要なのは「発展」ではなく「解放」なのだ。貧者を解放する闘争としての宗教活動。心の問題であるはずの信仰が、圧倒的現実を前になす術を失い、現状変更へと舵を切るとき、教義はマニフェストとなる2024/08/24