集団的自衛権の何が問題か―解釈改憲批判

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  • サイズ B6判/ページ数 327p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000259897
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C0031

内容説明

安倍首相が執着する集団的自衛権の行使容認。憲法九条を実質骨抜きにし、平和国家としての日本のあり方を根底から覆すに等しいことを、閣議決定で済ませてよいのか。立憲主義の破壊など憲法解釈の変更がもたらす深刻な事態について、憲法学者、政治学者、ジャーナリストなどさまざまな論者が多角的に分析。安保法制懇の報告書、パネルを使用した総理会見、与党協議等に現れた国民をミスリードする数々の議論に対しても批判を加える。過去の政府答弁など充実した資料も付した、全国民必読の書。

目次

1 安倍政権は何をやりたいのか(安倍政治の戦後史的位相;危険な政治的信条の代償として「国民の命と暮らし」が奪われる;対談 安倍総理は何を欲しているのか;インタビュー 現実を無視した危険な火遊び)
2 立憲主義の破壊(私たちに何が求められているのか;禁じ手ではなく正攻法を、情より理を;集団的自衛権論の展開と安保法制懇報告;集団的自衛権行使が憲法上認められない理由―「背広を着た関東軍」安保法制懇の思考;砂川事件最高裁判決、田中補則意見、「必要最小限度」の行使;立憲主義は政府による憲法解釈変更を禁止する;インタビュー 「限定」であっても、日本の平和主義を大きく変容させる)
3 国際環境の変化と集団的自衛権(グローバルな寡頭支配の拡散に日本の立憲デモクラシーは抗えるか;米国外交からみた集団的自衛権;沖縄からの異議申し立て;集団的自衛権を支える安全保障概念を問い直す)
4 私はこう考える(インタビュー 最悪の事態を想定することの落とし穴;インタビュー 日本は「ワイマールの落日」を繰り返すな;インタビュー 元防衛大臣として問う安倍首相の政治観)

著者等紹介

奥平康弘[オクダイラヤスヒロ]
1929年生。東京大学名誉教授。憲法学

山口二郎[ヤマグチジロウ]
1958年生。法政大学教授。政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

21
表紙見返しによると、全国民必読の書。安倍首相は9条を恥ずかしい条文と呼んでいるが、日本を軍国主義にしないための防で、世界秩序の柱(5頁)。前提が間違っては国民はどこへ連れていかれるかわからない。権力の私物化(10頁)は危険である。集団的自衛権は他衛(21頁)。米国は安倍と距離を置き始めた(28頁~)。なのに迎合し過ぎではないか。青井教授は、戦争を起こす国家と生身の人間は、別もの(87頁)という。水島教授は、安倍首相は集団的自衛権を行使した後のことを言及していないという。  2014/09/18

coolflat

6
『集団的自衛権の何が問題か』というより、安倍晋三の本質に迫った本と言える。ところで安倍は、軍事同盟を血の同盟と定義している。日本が集団的自衛権を行使することで、初めて日米安保条約が双務的になるのだと。しかしその日米安保条約は、第5条で米国による日本防衛義務を定め、第6条で日本による基地提供義務を定めている。実は既に双務的になっている。しかも日本は思いやり予算も負担している。集団的自衛権行使容認となれば、6条や思いやり予算を廃止しなければバランスがとれないが、安倍は条約改定しようとする素振りすら見せない。2014/10/14

Hiroshi

5
今を外したら読む意味が無くなってしまう本。集団的自衛権は個別的自衛権とは異なり、①自国が攻撃されたのではなく、②他国が攻撃された場合に中立義務に違反する行為をするのである。宣戦布告をするのと同義だ。安倍首相についてニューヨクタイムズやWSJは極右とみており、世界では余り信用されていない。国会運営から解釈改憲まで立憲主義を完全に無視している。砂川事件については、判決文だけでなく公判調書等も検討すると個別的自衛権の事しか問題になっていない。憲法解釈だけでなく、政治学者による国際環境の変化についても言及。良本。2015/06/21

futomi

3
ミステリーやファンタジーを読んでのほほんとしていたいのに、こんな難しい本を読まなければならない日本になるとは、とほほ。憲法学や政治学などの研究者たち20名が標題について分析する。難しい。がこの噛みにくさを咀嚼できる体力を身につけておかなければ、カラフルなイラストと感情に訴える柔らかな言葉にいつ騙されてなけなしのへそくりをごっそり奪われるとも限らないわけだし。2014/09/03

OTR

2
歴史上で民主主義のターニングポイントとも言える集団的自衛権問題について、知らないと気が済まない性格になり、結果ひたすらお金が飛んで行くので、そろそろ官邸に請求したいレヴェルである。高橋和之の小論が最も自分が持つ疑問に答えてくれた。自民党の村上議員のように、「当たり前のことを当たり前に言える」政治家が出揃ってこそ、やっと憲法論議と安全保障論議をできる土台ができるのだろうなあ、と思っている。2014/08/07

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