内容説明
絵本はどのように人生を豊かにし、いのちを育む力を与えてくれるのか。読み手の年齢や状況によって受け取るものは異なり、人生経験を経るほど、深い意味を発見することができるというところに絵本の秘められた可能性がある。その可能性について、心の危機、人生の危機に直面した時、絵本によって生き直す力を取り戻した人々のエピソードに寄り添いながら語ろうと思う。本書が、心の乾いたこの時代に潤いの一滴をもたらすことを願って。
目次
1 絵本は人生のパンセ(悲しみから生まれる深い言葉;心を豊かにする幼き日の思い出;人が帰るべきやすらかな場とは ほか)
2 大変な時代の子どもの心(大変な時代の子どもの心;子どもは何が大事なことか感知している;子どもが自分を見つめるとき ほか)
3 自然はいのちの湧き出る現場(花や木と言葉を交わしていますか?;木々の恵み、生きる力;ことしもやまにあきがきた… ほか)
4 大人に絵本を語っていく私
著者等紹介
柳田邦男[ヤナギダクニオ]
1936年栃木県生まれ。現代社会の問題をえぐるノンフィクション分野の仕事に精力を注いでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KEI
36
「大人こそ絵本を読もう」「絵本は人生に三度」という運動をされている著者のエッセイ集。【絵本は生きることや人生や対人関係やいのちについて、基本的に大事なことを忍ばせているジャンル】【人生経験を積むほどに、絵本が秘めている深い語りかけに気づいていくものだ】絵本の実例を挙げて、読み手の心にどの様に響いていくかを述べているので、絵本の解説書としても絵本選びにも参考になる。感性が枯渇しないようにこれからも絵本を手に取りたい。この本には掲載された絵本の一覧表が無かったのが残念だった。2018/02/03
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
31
いのちと心に関する著作を精力的に発表してきた柳田邦男さんは、2000年過ぎから「大人にこそ絵本を」という主張を繰り広げています。作者曰く「絵本は人生に三度」。自分が子どもの時、子どもを育てる時、そして人生の後半か重い病気に罹った時。本書は看護雑誌の連載をまとめたエッセイ集で、【悲しみを癒す】【子どもの心を汲み取る】【他者を理解する】などの切り口で多くの絵本を紹介しています。作者のように一冊の絵本から教育・社会問題を読み解くような読み方はできるものではないけど、“大人のためのブックガイド”としては好著。2014/05/11
ぶんこ
24
絵本は人生に3度・・子供はいませんが、絵本が好きだったので常備してありました。 甥が泊りに来た時には、ブルーナのうさこちゃんシリーズが大のお気に入りでした。 単純で、鮮やかな色彩が良かったのでしょうか。 著者の博識な事に、新たに驚かされました。 読んでいない絵本が沢山ありました。 こちらを読んで、改めて絵本における絵の重要度に気付きました。 日本人のDNAか、西洋の尖った絵よりは、まん丸い可愛い絵が好きです。2014/06/08
さいたまのたぬき
16
絵本は子供のもの。 比較的簡単な話や表現のもの。 という意識が大方の人の中には あるかもしれないが、 柳田さんはそうではないと語ります。 絵本はいわゆる本とはまた違った表現 媒体であり、優れた絵本は大人の鑑賞 にも耐えるどころか、 人間に生きる力さえ与えてくれる。 この本の中ではそういった心が体がやんだ 時に人に力を与える本をたくさん紹介している 改めて絵本をよく読んでみるということを してみたいと思った1冊でした。 2014/11/02
くれの
7
絵本に一家言ありとは存じず著者の多才ぶりをみました。紹介されている絵本の本質を見抜き解説される手腕はさすがノンフィクションの雄そのものです。「絵本は人生で三度読むべき」これをぜひとも実践していきたいです。2014/03/07