出版社内容情報
半世紀以上『岩波国語辞典』編纂に携わってきた国語学者の随筆集.江戸の空気が濃厚に残る昭和初期の浅草での子ども時代から,勤めを退いた現在までの想い出に,辞書のため用例として収集されてきた言葉たちが絡んでいく五十篇.かつて下町に息づいていた地名,失われた東京弁の語彙や,風物とともに消えた言葉も甦る.
内容説明
江戸の空気が濃厚に残る大正末年の浅草に生まれ、昭和から平成の言葉の変化を見つめ続けてきた国語辞典編纂者の随筆。時には軽妙洒脱に、時には厳しい批判を加えながら時代を写し取る。東京散策の案内も含んだ、小粋な五〇篇。
目次
第1章 町の子だった日
第2章 そのかみの鼓動
第3章 東京の地名を歩く
第4章 兵隊は
第5章 辞書編纂の折節に
第6章 文芸の小みち
第7章 勤めは引いた
著者等紹介
水谷静夫[ミズタニシズオ]
1926年、東京浅草生まれ。国語学者。1948年東京大学卒業後、国立国語研究所勤務を経て、1964‐91年、東京女子大学で教鞭をとる。コンピュータを用いた言語処理を早期から導入し、日本語の実態を分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
18
輿論。世論。 世上の取りとめも無い 噂話といふやうな余り 良い意味ではない(119頁)。 辞書の仕事は総索引作りと同じく、 良質の作が学界の研究を促進する。 にも拘らず研究者の業績とは認められない (139頁)。 筆記具。 鉛筆。毛筆。万年筆。ボールペン。 シャープペンシル。 著者はシャー芯を嫌う。 芯が折れやすいせゐとのこと(187頁)。 ワープロも多いようだ。 鉛筆を関心している(188頁)。 2014/06/16
KAZOO
12
岩波国語辞典を長年にわたって編纂してきた人の、子供のころからの思い出をたどりながらの様々な言葉に関する随筆集です。昭和初期のころのなつかしい情景が言葉と主によみがえる感じがします。また東京の町の名前も変わってきているということなども、その地名の箇所を歩くことにより私もなつかしさを覚えました。2014/07/04
Hatsumi Sakoda
2
辞書編纂者による言葉にまつわるエッセイ集。旧仮名遣いと旧字体の漢字が用いられているが抵抗なく読める。昔の浅草で使われていた言葉に関する話題が興味深い。2014/02/25
西野西狸
1
昔を回顧する随筆で、言葉が移り変わっていくさまがわかる。引用の小説もで下町のことばにどのようなものがあったかわかり、こんな時代もあったのかと思う。2015/03/05
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