出版社内容情報
存在の悲しみに膝を屈し,孤絶と諦念に生きる中年の「私」.その静かな日常に不思議な裂け目となって襲いかかるさまざまな死.死を生きるかのような「私」と,死してなお響く彼らの声.生者と死者の交錯の果てに待ち受けていた奇跡は「私」を再生へと導くか――.独自の小説世界を疾走する作家が放つ純文学特別書き下ろし作品.
内容説明
存在の悲しみに膝を屈し孤絶と諦念に生きる中年の「私」。その静かすぎる日常に不思議な裂け目となって襲いかかるさまざまな死。死を生きるかのような「私」と死してなお響く彼らの声。生者と死者の交錯の果てに待ち受けていた奇跡は「私」を再生へと導くか―。独自の小説世界を疾走する作家が満を持して放つ書き下ろし中篇連作。
著者等紹介
丸山健二[マルヤマケンジ]
1943年生まれ。1966年、「夏の流れ」で文學界新人賞、芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
21
この本についたレビューの悉くがあまりに素晴らしすぎて平伏。内容について知りたい方はそちらをご覧ください。さて、頻繁に涙してうずくまりまくリーヌな私は、昨夜も風呂に入った折、湯気で曇った浴室の壁にドラえもんを描いてくれと、離婚して別れた娘にせがまれたことを思い出し、シャンプーが目に沁みたわけでもないのに涙してうずくまりました。そして風呂上りにコアップガラナを飲みほして、テレビのリモコンを探すうち座布団の下から『パパとハリポッタとうんこ』と題された似顔絵を見つけて、涙してうずくまりました。現場からは以上です。2015/10/13
yamahiko
21
自己撞着の言葉の連なりの果てにソコから突き抜けた救いが用意されていました。数少ない気になる作家の一人です。2017/01/03
かっぱ
5
癖があるので、最初は読むのが辛いかなと思ったけど、徐々に、引き込まれるようにして、文字を追っていた。心に傷を抱えたまま己の殻に閉じこもる冴えない孤独な40男が主人公の4編。魂の揺れ動く様をじっとみつめる作家の鋭い目を感じる。2013/02/15
iku
4
かなりだめな感情が、散文詩の形で、わりとすがすがしく吐露される・・・という感じがしました。それにしても、描かれる情景や空気の臭いが魅力的です。2013/09/19
上田
3
最初、読みにくい文章だと思ったけど、だんだん慣れて夢中で読んだ。表現力がすごい。主人公の感情がジェットコースターのように上がったり下がったり。女の子と熊、生と死の対比が印象的だった。終わり方がとても良い。2017/10/15