内容説明
脳性麻痺による重度の障がいを負って生きてきた著者は、“豊かな経験”を持つ「ケアを受けるプロ」を自称し、ケアされる立場から、障がい者としての思いを訴え続けてきた。本書は、障がいを持ちながら必死で生きてきた著者がリンパ癌にかかり、二重の苦しみを経験するなかで気づかされたこと、考えたことを綴った闘病記。数々のエピソードを紹介し、ケアされる立場から医療と福祉の現実を鋭く批判するとともに、人間らしく生きることの意味を問う。病気になっても明るく生き、自分を病人にしないという、ひたむきな前向きに生きる姿勢は感動的であり示唆的である。
目次
はじめに―エメラルドブルーの海
雲の上のベッド
目覚めたガン細胞
めぐり合い
医師は神ではない
何年経っても同じ闘い
薔薇に包まれて
脳性麻痺とガンの治療データを作らなければ
神様、母に会わせてください
抗ガン剤を打ちながら仕事をするわたしはおかしい?〔ほか〕
著者等紹介
小山内美智子[オサナイミチコ]
1953年生まれ。障がい者自立生活センター札幌いちご会会長。社会福祉法人アンビシャス施設長。自身、脳性麻痺で「ケアを受けるプロ」を自認。2008年、悪性リンパ腫を発症したが、半年の闘病生活を経て、社会復帰を果たした。北海道大学医学部作業療法学科で教鞭をとるなど、介護教育に力を入れる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆうゆう
8
なんてパワフルな人なんだろう!闘病記なのに、悲壮な雰囲気など微塵もない。脳性麻痺の重度の障がいとともに生きてきた小山内さん。自らをケアを受けるプロとして、リンパ癌の入院ケアをその筆でめった切りする。(笑)。と、言っても過言でもないはず。(笑)。笑いなのだ。何とも底抜けなく明るくて、ユーモアあふれて、優しいのが、伝わるのだ。夜明けバナナの鹿野さんつながりで、いちごの会を知って、小山内さんを知った。もっと読んでみたい。2019/08/31
︎💓ひかる💓
5
脳性麻痺による重度の障がいとリンパ癌の二重の苦しみの中で感じた事、気付かされた事、考えた事を綴った闘病記。具体的にはお風呂だったりちょっとしたことだが介護される側の立場にたって設計されたものが少ない。当の本人が、例えば身体に力が入らない患者起こす、寝返りさせる練習を普通に動ける人にやってもらうと自然に力が入って練習にならないのでは?私も及ばず乍ら考えてしまいます。とにかく、パワフルでところにより難しく哀しい。2024/02/20
貧家ピー
2
脳性麻痺の障害を持ち、「ケアされるプロ」を自認。 本書ではリンパ癌との闘病生活の中で合わない看護師との戦いも描かれる。生きるのも死ぬのも人間としての仕事、思い切ってやりたいことをやって言いたいことを言え。人に嫌われるからといって「いい人」になるな、わがままを自覚しながらわがままを言い通せ、というメッセージを重く感じた。2011/08/13
まりかず
1
この人にはずっといろいろな意見を言い続けてほしいな。自分もヘルパ-のはしくれだからがんばらなくちゃ。つらい話を読むと本当にやりきれない。2011/11/06
kiho
0
自分に正直に、思うことをまっすぐに伝える潔さを持った方…形作ろうとしない姿勢が文章ににじみ出ています☆2012/04/04