内容説明
ナチス台頭前夜、ベルリンで読書会を始めた若き知識人群像。その軌跡と時代の波涛との接点を歴史として初めて描き出す記念碑的労作。
目次
序章 芹沢光治良『人間の運命』の周辺
第1章 ワイマール共和国の「洋行」日本人
第2章 ベルリン社会科学研究会―有澤廣巳の青春
第3章 ベルリン反帝グループと革命的アジア人協会
第4章 新明正道と杉本栄一の「第三の道」
第5章 ドイツ共産党日本人部―旧ソ連秘密文書から
第6章 河上肇と国崎定洞―知識人と党派性
第7章 ナチス・ドイツと軍国日本のはざまで
終章 ワイマール民主主義から戦後民主主義へ―千田是也を中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
4
ワイマール共和国時代に日本から留学・洋行し、現地で主にマルクス主義の文献を読む読書サークルに加わった人々がその後どのような歩みをたどったかを追う。共産党に加入しながらも日本のスパイとされてソ連で銃殺された国崎定洞、ワイマール共和国時代の経験を戦後民主主義の確立に生かそうとした有澤広巳や千田是也、転向して戦争に協力した人物や戦後沈黙を守った人物など、彼らの生き方は実に様々だった。旧ソ連の文献を元に多くの優れた本を書いた加藤哲郎氏がまたも優れた本を出してくれた。これも読む価値のある本。2014/03/25