リスク化する日本社会―ウルリッヒ・ベックとの対話

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000255677
  • NDC分類 361.04
  • Cコード C0010

出版社内容情報

多くのリスクや不安に直面する日本のゆくえを,リスク社会論の第一人者との対話から探る.いま社会理論の役割とは何か.家族と社会保障の再構築のために何をすべきか.欧米と東アジアの比較のなかでグローバルなリスクをどう考えるか.2010年秋の連続シンポジウムの記録.ベ

内容説明

様々な危機や不安に直面する日本社会にとって、人々の生活や人生上のリスクを安定化する装置がどのようなものであるべきかが問われている。本書は、リスク社会論の第一人者との対話から、そのためのヒントを探る試みである。「個人化」「第二の近代」「コスモポリタン化」といったベック理論の重要概念に批判的な検討を加えながら、社会理論の役割、リスクの時代の家族と社会保障、日本と東アジアにおける多元的近代をめぐって議論が展開される。2010年秋の連続シンポジウムの記録に、ベックが福島第一原発の事故を論じた貴重な論考も収録。

目次

この機会に―福島、あるいは世界リスク社会における日本の未来
1 再帰的近代化の中の個人と社会―社会理論の現在(個人化の多様性―ヨーロッパの視座と東アジアの視座;個人化論の位相―「第二の近代」というフレーム;二〇一〇年代の日本における個人化とベックの理論)
2 リスクの時代の家族と社会保障―ベック理論との対話(リスク社会における家族と社会保障;個人化とグローバル化の時代における家族;個人化と家族主義―東アジアとヨーロッパ、そして日本;日本における個人化の現象―福祉国家をとおしてみる)
3 日本と東アジアにおける多元的近代(第二の近代の多様性とコスモポリタン的構想;東アジアにおける第二の近代の社会変容とリスク予防ガバナンス―ウルリッヒ・ベックとの対話;社会学理論、第二の近代、「日本」―アジア的パースペクティヴとコスモポリタン化をめぐるベックとの対話)
4 個人化する日本社会のゆくえ―コメントに対するコメント

著者等紹介

ベック,ウルリッヒ[ベック,ウルリッヒ][Beck,Ulrich]
1944年生まれ。元ミュンヘン大学教授。社会学。現代を代表する社会学者、リスク社会論の第一人者として大きな影響力を持つ。福島第一原発事故を受けて設置されたドイツ政府の「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」委員も務める

鈴木宗徳[スズキムネノリ]
1968年生まれ。法政大学社会学部准教授。理論社会学

伊藤美登里[イトウミドリ]
1965年生まれ。大妻女子大学人間関係学部教授。社会学史、知識社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

11
・再帰的近代化の理論: 近代の基本原理と基本諸制度を区別(18頁) ・三上剛史氏によると、ベックはグローバル化をネオリベラリズム的な世界市場の形成とボーダレス化。コスモポリタン化を多様なトランス・ナショナルな生活形式の増加とした(49頁)。 ・樫村愛子氏によると、リスクによって監視社会化が内面化されて強化され、民主主義的な社会統合は機能しない。 → 日本では不安は言及されず排除されるので社会的統合機能をもてず、リスクを担った当事者のみが排除(60頁)。  2013/11/12

センケイ (線形)

10
ベックはタイトルや宣言でよくリスクを引き合いに出しているように見えるけど、実際に言いたい話は帰属の個人化や、国家制度のアーカイブ化なのだと思う。それを不確実性と紐付けてはいるけれども、リスク化と題打つほどに問題視しているというよりは、事実観察をしてやろうというのがこの本の目標なのだと思う。読む難しさについて言えば、似て非なるワードに対する注意喚起と、内容の話とを行ったり来たりするため、注意深く読まないと見失う。結構好きな内容なのなので、個人的にはもう少し慎重に読めばよかったという反省もあり、再読したい。2022/03/20

いとう・しんご singoito2

2
第2の近代、再帰的近代をキーワードにする日独韓の研究者の論文集。社会学の在り方そのものを問うとともに、近代そのものをというという合わせ鏡のような構造になっていて、そこが面白いところでもあり、分りにくいところでもあるのでした。2020/08/25

Mealla0v0

0
2011年以前から企画されていたベックの来日講演が、奇しくも、「ポスト3.11」という形になった講演のテクストを収めた論集。ベックの『リスク社会論』はチェルノブイリに即応していたように、この本はフクシマに関連づけられることになった。とりわけ、ベックのポスト3.11後のシナリオについての分析=シュミットvs.ヘーゲルは興味深い。ただし、同時に本書はベックの個人化論も検討されており、その比重はこちらへ傾いている点に、タイトルとのズレを感じる。また、樫村愛子のベック理論の批判は非常におもしろかった。2017/09/01

ヒルデ

0
甘ちゃんと言われようとも生きること自体のリスク化は嫌2012/05/04

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