内容説明
老人指南書登場!暮らしから、文学から、食べ物から、イタズラから、恋煩いから、一〇項目にわたって、あなたに最適な耄碌具合をご指南します。殺風景な老人世界も、俳人ねんてん先生が切り取れば、こう見える。モーロクこそ、長い老後を生き抜く術、頼る杖。適度に虚脱し、存分に弛緩し、時たま覚醒し、ちょっと合間に俳句も。あなたも続いてモーロクしましょう。ぜひご一緒に!
目次
ウソ(方便)―茶化してみる
オイタ(悪戯)―叱られてみる
ソラ(宇宙)―覗いてみる
ボヤキ(悲嘆)―溜息をついてみる
ギョウシ(注目)―一人になってみる
ラヴ(片思い)―いい気になってみる
シュウチャク(変態)―嫌がられてみる
ウチ(我が家)―振り返ってみる
ウロツキ(徘徊)―飛んでみる
クフ(美食)―長生きしてやる!
著者等紹介
坪内稔典[ツボウチネンテン]
1944年愛媛県生まれ。本名=としのり。俳人、京都教育大学名誉教授、俳句グループ「船団の会」代表。2010年『モーロク俳句ますます盛ん』で桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
4
個人の感想です:B-。著者は1944年生まれの俳人。「ねんてん」さんと読む。近代の日本では軍事、経済など若いことに意義がおかれるようになり、「老い」は褒め言葉(例:老成する)ではなくなってしまった。俳句や短歌などをテーマに季節感にあふれた新聞エッセイをまとめたもの。30年間毎朝あんパンを食べ続け、河馬と柿の木に会うため全国を旅しているとのこと。「端居・はしい」(夏の季語で酔って気がついたら縁側で居眠りしていた)に価値観を置くには自分はまだ生臭すぎると感じ、モーロクするのは、もう少し先にしようと思った。2016/02/26
AR読書記録
2
まあまあ母と歳も近いし、母プレバトの俳句査定楽しみに観てるし、「モーロク」はまだちょっとアレかもしれないけど、もしかして興味持たないかなぁ、と思って、読みながらちらりと見せてみた。が、いまいち母の心はつかまなかったようである。まあ、多少、男の人の老い方と女の人の老い方はまた違うよね、とは思う。このなかにもあるけど、うちの母も「ひっきりなしにちょこまか動」く、「昔のおばあさんの伝統の」生きている女だろう。父が亡くなり天野忠の描くような爺さん婆さんにはなることのない母だけど、私が父の代わりになりそうな気配。2016/10/27
shizuka
1
滋味あふれるエッセイだった。所々に俳句を混ぜて、少しの解説をしてくれたのもうれしい。俳句の解釈に正解はない。いくつもの解釈があっていいのだ。読み手にそれをゆだねられた、自由さがあることを知れてうれしい。著者はこうも言っている。「俳句は作者の感動や思いよりも、表現のおもしろさに比重がある。表現の技を競う文芸。それが俳句なのである」2019/07/26
クリフトン
1
首を突っ込んでいるのはどうしてだろう ステッキと足を横切る線はなんだろう 奇妙な絵のカバー 多くの俳句や詩が紹介されておりモーロクも嫌なことばかりじゃないと思わせてくれる そのひとつ天野忠氏の「考えごと」という詩 「ねながら/人生について考えていたら/額に/蝿がとまった 長いこと休んで/それから/パッと/元気よく飛び立った どうやら考えがまとまったらしい」 次の一行が実にいい-70頁 2016/02/09
kei
0
☆☆☆☆☆2016/08/01