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内容説明
一九六八年前後は岩波書店にとってもおおきな分水嶺となった。出版界は人文書の全盛期を迎え、岩波書店も七〇年代にかけて「思想大系」や『広辞苑』の改訂版など大型企画を続々と送りだしたが、岩波書店が依拠してきた古典的教養の足元は崩れはじめていた。「戦後」からの離陸を模索し苦闘した編集者たちの軌跡を追う。
目次
第1章 「一九六八年」と岩波書店
第2章 ヴェトナムから遠く離れて
第3章 「T・K生」の時代
第4章 知の旅への誘い
第5章 「相対化」の時代に
著者等紹介
苅部直[カルベタダシ]
1965年生。東京大学法学部教授。専攻、日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
15
『世界』は、「現実主義」路線をとる『中央公論』とは対照的に、平和問題談話会以来の、冷戦からの中立、日米安保廃棄、軍縮や非武装の平和追求路線を堅持(48頁)。現代も両月刊誌は書店でみる。世界は扱う書店が少ないかもしれない。島恭彦『財政学概論』(84頁)は機会をつくって拝読したいと思う。自由でのびやかな思考を育ててゆくことが、新しい知の究極課題(186頁)。大塚信一氏の指摘。現代もかくありたい。今でこそ、リアリストの思潮にも一理あると思っているが、昔の僕は若かったのだろうか、理想主義ばかりだった。両方吟味を。2014/01/15
やまやま
10
第三章T・K生の時代は興味深かった。前史として安江良介氏が小森武氏のリクルートを通じて美濃部都知事の特別秘書になったことから、朝鮮大学校の各種学校認可を進め、金日成主席から大いに感謝されたという逸話も含め、昭和40年代の日本の南北朝鮮に対する一つの向かい合うスタイルを感じた。「韓国からの通信」の筆者は、現在では池明観氏のペンネームと明らかになっているが、軍事政権である韓国が人権を抑圧している一因にはアメリカの操作があるとして、陰謀説を出したことは、偏見なく現実を見ることは困難といういつもの話でしょうか。2020/12/27
本命@ふまにたす
2
主に60年代後半以降の岩波書店について論じる。近年についての記述が薄いのは気になるが、時代時代の出版物に見られる姿勢についての批判的な検討がなされていることは好印象。2021/05/20
takao
2
ふむ2021/01/07
rbyawa
2
j035、手厳しい内容になっているというが「翻訳と検閲で意味不明になった本を知的水準の高さ」と絶賛されたとか、中小学校の教師がメインターゲットとか、最初からクライマックスだったので知的水準の限界も過去の慢心への忠告もまあ今更かな。どちらの陣営か忘れたが1980年代ままの朝鮮半島知識が10年更新されない団体がなかなか参考になった…残滓を見掛けた気もする。そういえば文藝春秋との差別化戦略というようなことが1巻辺りで語られていたように思うが、古典に絞ったほうがいいんじゃないかな…。10年前を追うとかなら見たい。2019/04/18