内容説明
子どもが本を読むことの大切さを語った『読む力は生きる力』は、多くの読者の共感を得た。本書では、絵本から本格的な物語へと移行する重要な時期に、なぜ昔話や民話ふうの物語がふさわしいのか、語り継がれ、読み継がれてきた「物語」にはどんなすばらしい力が秘められているのか、明快に説く。
目次
第1章 昔話の不思議な力
第2章 昔話のメッセージ
第3章 昔話から物語へ
第4章 感情体験の大切さ
第5章 物語で味わう自然
第6章 ゆっくりと、心にしみこむように
第7章 願いがかなうことと成長すること
第8章 鳥の目と虫の心
著者等紹介
脇明子[ワキアキコ]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了(比較文学)。現在、ノートルダム清心女子大学教授。「岡山子どもの本の会」代表。岡山県子ども読書活動推進会議会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井月 奎(いづき けい)
34
物語りという切り口からいろいろなことを考察します。神話、伝説、昔話、小説の違いとそれぞれの得手不得手、良質な物語は実体験を五感で追体験できる可能性を秘めている。その二つだけでも読んだ価値はあります。さらには児童文学を取り上げて、子どもたちへの読書指南という形をとっていますが、どうしてどうして大人にだって有用な物語との接し方を教えてくれます。ううむ、良書。2023/07/08
さゆ
25
この本を読んでもらいたい多くの人がいる。安易に絵本を出す出版社(ことにゾロリシリーズを出し続けるポプラ社)、ご自分が読んでもいない本を必読リストにあげる学校の先生、映画化等のメディアの影響をもろに受ける大人たち。2010/10/29
april-cat
19
速読の危険性について書かれているのが素晴らしい。情報活用能力としては必要な斜め読み能力だが、思考道具としての言葉を育てるのには向かないということをしっかりと意識したい。4年生ぐらいまでは精読と耳からの読書によって、言葉の隅々まで心と頭に染みわたらせることが必要なのではないか。2013/05/30
kazu_tea
9
図書館でふと目に止まったタイトルを見て、アレ?と思ったら「読む力は生きる力」を書かれた方の本でした。"はじめに"の中で著者は「子どもたちがちゃんと育つことが大切であって、本が読まれること自体が大切ではない」と書いています。本に携わる仕事をされている方なのに勇気ある主張だと思います。それだけ真剣に今の子供たちの事を考えているのだろうと感じました。物語の残酷性について、不快感情の体験について、速読の落とし穴など色々と参考になりました。そして、物語を味わい、豊かな喜怒哀楽の充電を親子でどんどんしていきたいです。2011/05/18
ほたぴん
8
子どもと本の橋渡しをする時に、しっくりこなかったこと、漠然と疑問に思っていたことの、答えをいただけたような感じがします。とりあえず何でも読めばよいという、今の子どもの読書環境を、何とかせねばと焦りを感じますが、脇さんのおっしゃるとおり「小さいロウソクを1本ずつ灯していく」しかないのですね。2011/02/21
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- 和書
- テレビもあるでよ