出版社内容情報
三池炭鉱は、近世の藩営による開坑から明治維新後の官営化、さらに三井財閥への払下げを経て、一九九七年の閉山に至るまで、日本の近現代史に独特の痕跡を刻んできた。資本主義の発展や戦後復興を支え、国策に左右されながら展開してきたその歴史的経験の全体像を、労働争議と地域社会のかかわりに注目しつつ通史的に描く。
【目次】
はじめに
凡 例
Ⅰ 経営主体の変遷と発展
第一章 近世の「石炭山」
第二章 官営三池炭鉱
1 官営初期の鉱山経営
2 石炭の輸出と三井物産の設立
3 技術革新による新展開――新坑・疏水・鉄道
4 制度上の変遷――工部省から大蔵省へ
第三章 三井三池炭鉱の始動
1 三池鉱山払下げをめぐる攻防
2 災害・環境問題への対応
3 組織変革と万田坑の開鑿
4 運搬方法の革新――馬から鉄道へ
第四章 港湾整備と輸出の拡大
1 三池築港と四山坑の開鑿
2 出産高の増加と戦争
第五章 三井三池炭鉱の労働力編成
1 募集受負人制から直轄鉱夫制へ
2 不可欠の囚人労働
3 口之津港と与論島民
4 戦時下の三池炭鉱――強制連行の朝鮮人・中国人
Ⅱ 労働争議と地域社会
第六章 三井三池の発展と労働争議
1 米騒動の中で
2 与論島民の騒擾――陳事件
3 三井鉱山の対応
4 整然とした三池炭鉱争議――一九二四年
5 昭和二年万田坑争議――ミゼラブルな闘い
資料 三池争議団等による周辺住民を対象とした演説会(一九二四年六月)
第七章 戦後の三池炭鉱と労働争議
1 戦後復興と三池炭鉱
2 企業整備反対闘争――一九五三年
3 三池大争議――一九五九―六〇年
第八章 三池炭鉱の閉山とその城下町
1 三池炭鉱における災害
2 閉山と炭鉱城下町のゆくえ
注
おわりに
あとがき
謝 辞
内容説明
三池炭鉱は、近世の藩営による開坑から明治維新後の官営化、さらに三井財閥への払下げを経て、一九九七年の閉山に至るまで、国策に左右されながら、日本の近現代史に独特の足跡を残してきた。資本主義の発展を支え、戦後復興の一翼を担い、エネルギー政策の転換と労働争議、炭じん爆発等の記憶が刻まれたその「生涯」を、地域社会との関わりに重点を置きながら通史的に描き出す。
目次
1 経営主体の変遷と発展(近世の「石炭山」;官営三池炭鉱;三井三池炭鉱の始動;港湾整備と輸出の拡大;三井三池炭鉱の労働力編成)
2 労働争議と地域社会(三井三池の発展と労働争議;戦後の三池炭鉱と労働争議;三池炭鉱の閉山とその城下町)
著者等紹介
猪飼隆明[イカイタカアキ]
1944年、福井県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。熊本大学文学部教授・大阪大学大学院教授を経て、大阪大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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