出版社内容情報
石井桃子と共に、戦後絵本の嚆矢「岩波の子どもの本」を立ち上げたのは、いかなる人物だったか。海外の児童文学の翻訳や紹介だけでなく、舞踊評論や写真評論も行ったが、自らその生涯を語ることはなかった。戦前の仕事は? 戦後の活躍の背景には何があった? 元編集担当者が、遺された資料から謎多き人生に迫る、初の評伝。
内容説明
石井桃子と共に、戦後絵本の先駆け「岩波の子どもの本」を立ち上げたのは、いかなる人物だったのでしょうか。児童文学の翻訳や紹介だけでなく、舞踊評論や写真評論も行いましたが、自らその生涯を語ることはありませんでした。戦前はどのような仕事をしていたのでしょう。戦後の活躍につながる仕事があったのでは?元編集担当者が、遺された資料を発掘、謎多き人生に迫る、初の評伝です。
目次
第1章 それは父から始まった
第2章 鉄道省外局国際観光局で
第3章 舞踊評論家として
第4章 戦後からの出発
第5章 岩波の子どもの本
第6章 「岩波の子どもの本」以後の活動
著者等紹介
澤田精一[サワタセイイチ]
1948年千葉県生まれ。山梨大学卒業。元福音館書店編集者。大竹伸朗の『ジャリおじさん』(小学館絵画賞受賞)をはじめ、宇野亜喜良、五味太郎、井上洋介、スズキコージ、伊藤比呂美、佐野洋子などの絵本を世に送り出す。元白百合女子大学・日本女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ボナンザ
7
岩波少年文庫関連の解説本で名前を知り、日本の児童文学の黎明期を支えた人という認識で読んだ。ご本人の目まぐるしく変わる経歴を追うのがなかなか大変だったが、戦後の児童文学にGHQが深く関与していたというはなしが衝撃的だった。民主主義を根付かせるために書籍の検閲だけでなく作家・文学者の教育、図書館の整備、司書の育成などに関わっていたという。いや生々しい。2022/07/25
はなびや
5
とても読みたかったそして知りたかった内容でした。私の絵本体験は、『ひとまねこざる』と『アルプスのきょうだい』から始まります。つまり岩波子どもの本で、その訳者は光吉夏弥でした。『百枚のドレス』を読んだ時、この本は光吉夏弥さんのコレクションの中にあったので、自分なりに光吉夏弥さんのことを知りたくて調べましたが、資料が少なくてわからないことが多かったので、光吉さんを知る澤田さんの本は貴重だと思います。日本の翻訳絵本の先駆けであり、基盤作りに尽力しながら、児童文学の中心的立場ではなく傍流というのか、2021/11/22
psy
2
岩波の図書で掲載されていたものを読んでいて、興味深いな〜と思っていたので、1冊に纏まったものを読めてよかったです。初の評伝、とのことで参考文献等の掲載がないのはしょうがないのかなと思いますが、つまり本人と関わりがあった著者による1次資料と位置付けられるものではないかと。光吉本人の人となりなどは触れられてなかったような感じですし、業績等と併せて更なる研究が待たれるところかと。最初期の岩波子どもの本を右開き縦組図版逆版問題はもーちょい色々あるのではとか。表紙まわりの装画が素敵です。表4は石井桃子さんとかな?2021/11/05
ぱぴぷぺぽ
1
**** なつかしい岩波のこどもの本 (ひとまねこざる)(ちびくろさんぼ)等々 光吉夏弥の訳だったのですね 勝手に石井桃子の訳だと思い込んでいました。日本の絵本の創成期 興味深く読みました。 2021/11/21