出版社内容情報
国が戦争をするのではない、人が人を殺すのだ。尋問録音記録に残されていた衝撃の告白、そして戦争の真実とは?
内容説明
第二次大戦中、太平洋の激戦地で捕虜となった日本兵。その尋問録音記録に残されていた衝撃の告白とは。連合軍の緻密な情報戦と冷徹な捕虜分析のもと、密室でただ一人、追及され、自問もし続けた戦争の意味。自棄、苦悶、誘惑、吐露、絶望、選択、逡巡、沈黙、すべてを孤独に背負わされる戦争の真実―国が戦争をするのではない、人が人を殺すのだ。尋問室での壮絶な闘いを再現するドキュメンタリー。
目次
第1章 密室からの呼び声
第2章 狙われた海軍エリート士官
第3章 緻密を極めた連合軍の捕虜戦略
第4章 何でもしゃべる男
第5章 「命令」が兵士にもたらしたもの
第6章 ついに帰らなかった水兵
第7章 日本兵への呼びかけ
著者等紹介
片山厚志[カタヤマアツシ]
1980年生まれ。2004年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同年日本放送協会入局。沖縄放送局、報道局社会番組部などを経て、2015年より広島放送局放送部に所属。ディレクターとして主に報道番組の制作を担当。主な制作番組に、クローズアップ現代『国vs自治体―基地と補助金をめぐる攻防』(ギャラクシー賞奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Prince of Scotch
16
図書館本。かつて同題のNHKスペシャルを興味深く視聴したが、詳しく知りたいと思い本書を手に取った次第だ。テープに収められた日本人捕虜は4人だが、ここでは稲垣利一に言及したい。東京帝大から高文、海軍経理学校に合格した当時の超エリートである稲垣は従軍するも捕虜として捕らえられてしまう。連合軍の尋問官らの巧妙な誘導で結局は祖国を裏切る結果になってしまうのだが…。戦後、稲垣は栄達が望めたであろう官途を捨て同期である中曾根氏や鳩山氏とは異なる道を歩むことになる。その辺りの経緯をご遺族は慈愛をこめて語られていた。2020/08/10
ゆう
5
★★★★★『戦争』の単語から何が思い浮かぶだろうか?この本には戦争をリアルに経験し、かつその当時に捕虜となった日本兵たちの肉声が記されている。NHKのドキュメンタリー製作の課程と、御遺族への緻密な取材を通して見えてくる『国ではなく個人が経験した戦争』がここにあった。いまいちど戦争とは何かを考えるための良書。是非とも読んで頂きたい。2016/11/14
Toska
4
紹介本(感謝)。日本兵はそもそも捕虜になる前提がなかったため捕まると意外にたやすく軍機をしゃべってしまった、という話は知識としては知っていたが、そうした捕虜ひとりひとりの具体的な体験までは考えが及ばなかった。「日本」や「軍隊」等々の背景から切り離され、全くの個の立場で身の処し方を問われた捕虜たちの苦悩と葛藤。凄まじく重たいドラマだった。2022/08/07
takao
2
日本人捕虜へのインタビュー音源から2024/11/16