出版社内容情報
欧州各国の既成保守政党の再編を比較し、日本についての一章を加える。保守政治に関する初の体系的研究。
内容説明
欧州各国で躍進するポピュリスト政党。存亡をかけ「改革」を進める保守政党。変動する欧州・日本の現代政治のゆくえは―。保守政治をめぐる初の体系的研究。
目次
第1部 保守をめぐる理論と歴史(西欧保守における政権枠組の変容;福祉国家と西ヨーロッパ政党制の「凍結」―新急進右翼政党は固定化されるのか?;オランダにおける「政党」の成立―保守党の失敗とカルヴァン派政党の成功)
第2部 ポピュリズムという挑戦(国民党の興隆とスイスの民主政;変貌するフランス「国民戦線」(FN)
「自由」をめぐる闘争―オランダにおける保守政治とポピュリズム)
第3部 保守の再編とその戦略(イギリスの保守の変容―「当然の与党」の隘路;ドイツ保守政治空間の変容―キリスト教民主・社会同盟の「復活」とその背景;イタリアにおける保守主義政党―「例外」としてのフォルツァ・イタリア)
第4部 変貌する日本の保守(日本における保守政治の変容―小選挙区制の導入と自民党)
著者等紹介
水島治郎[ミズシマジロウ]
1967年生。現在、千葉大学法政経学部教授。専門:ヨーロッパ政治史、比較政治。著書:『反転する福祉国家―オランダモデルの光と影』(岩波書店、2012年、損保ジャパン記念財団賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あんころもち
9
伝統的な保守政党が批判を受け、より急進的な主張を掲げるポピュリズム政党が現れるのは日本に限ったことではない。本書はそうした事例を、オランダ、スイス、フランス、イギリス、ドイツ、イタリアと既存の保守政党がポピュリズム政党とどう向き合ってきたかを紹介する。そして、最後に日本政治をその文脈の中に位置づける。本書は6か国の事例を紹介することで、ポピュリスト政党の台頭とその影響をある程度一般化することに役立っている。現状、保守政党がその再定義に成功している例は乏しいといえよう。2016/08/11
陽香
2
201607052017/07/15
taming_sfc
1
ポピュリズム研究では日本で有数の水島先生による編著。右派ポピュリズム政党を軸足に置き、オランダ、スイス、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、そして日本にまで言及する。現下の国際情勢、とくにポピュリズムの台頭の要因について深い洞察を与える一冊。2019/10/02
てれまこし
0
政治(科)学者の書くものはつまらんものが多いので、しばらく遠ざかっていたが、今回は具体的な関心があったので、意外と楽しく読めた。具体的な関心というのは、日本には真の保守がないという仮説で、じゃあ、真の保守があるはずの西欧諸国ではどうなっとるんだという興味が湧いたのであった。それはともかく、保守政党と革新政党が選挙交代を通じて綱領や政策を変化させていく。しかし、それがまた中道化や包括政党化を生む。それで、その外側にまた新しい政党ができて、疎外された有権者を惹きつける。こんなダイナミクスが見えてきた。2017/11/06