翻訳に遊ぶ

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  • サイズ B6判/ページ数 214p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000247801
  • NDC分類 801.7
  • Cコード C0095

出版社内容情報

翻訳には魔物が潜んでいる! 物語の中から「どう,面白い? だったら訳してみたら?」とささやくこの曲者に魅了されたら最後,気が付くと翻訳を始めている…… スペイン語文学翻訳の第一人者である著者は,なぜ翻訳の世界に足を踏み入れることになったのか.翻訳と悪戦苦闘しながらも,同時にそこから無限の喜びを得てきた著者が,自身の足跡をたどりつつ,文学の楽しみ方を語り,翻訳の心得やコツを披露する,抽象論なき翻訳論エッセイ.

内容説明

翻訳の第一人者である著者は、なぜ翻訳の世界に足を踏み入れることになったのか。このエッセイは、翻訳に潜む魔物に魅せられてその森に迷い込み、悪戦苦闘しながらも、同時にそこからこの上もなく大きな喜びを得てきた著者が、自身の軌跡をたどりつつ、文学との出会いや楽しみ方、翻訳をする際の心得やコツを、縦横に語り尽くしたものである。

目次

物語世界への誘い
外国文学との出会い
大学時代
何が起こるやら
悪戦苦闘
よみがえりの術
翻訳の心得?
翻訳という魔物
魔法を解く呪文
人称代名詞
名詞文脈
ヴィジョンとイマジネーション
“翻訳不能”な要素
方円の器と水

著者等紹介

木村榮一[キムラエイイチ]
1943年大阪生まれ。神戸市外国語大学イスパニア学科卒、同大学教授、学長を経て、神戸市外国語大学名誉教授。スペイン文学・ラテンアメリカ文学翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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nobi

94
「族長の秋」の大統領「黄色い雨」の私「語るボルヘス」…。この人の翻訳では人物の“声”が聞こえる。翻訳の違和感を感じた記憶もない。マルケス、リョサなどの解説は作家と作品が生き生きと描かれて、巻末に添えておくのがもったいないと感じるほど。でもいわゆる翻訳第一人者の出自は意外に非エリート的。語りも唖然とするほどあけすけで衒いがない。英語仏語と違って西語翻訳の世界は優れた先達はいてもこんなに層が薄かったのか、とも。ただ長編なら一年に及ぶ悪戦苦闘は翻訳のみならず文学の高みへと繋がり“遊ぶ”感覚とも背中合わせだった。2019/01/26

キムチ27

51
お気に入りのお薦めがあればこその選書。帰宅ご 着替えもせずに読み始め、夕食の支度も手抜き 耽読。翻訳家が語ると言うより 人生読本の呈。文学部出身で無いとは言え、翻訳家とは黒子、橋渡しのようなものと常々感じていて 同様の事を筆者父君が言ったとあるのに合点が言った。半分は御父上が何かにつけ 語った教訓、奥様の「門外漢ならでは」のアドバイスの効、日本ではメジャーとは言えない多々のスペイン、中南米の作家紹介、そして三島・谷崎等よりの引用。半分は氏が歩んでこられた人生の路傍の景色、折々の煩悶。多々謙遜、誇張あるかも2020/09/04

miyu

50
ラテンアメリカ系の本をほとんど読まない私には木村さんというとリャマサーレスだ。未訳の本が沢山あるんだから木村さん早く訳してよ!と気軽に思っていた自分が恥ずかしい。奥様にウルトラマンとあだ名された木村さんがこんなにも悪戦苦闘してらしたとは。すいすいすーいと翻訳してるんだとばかり思ってた私をどうかお許しください。奥様との丁々発止のやり取りも面白いが木村さんのお父様が素晴らしい。人というのはこの世に生まれ落ちてから関わってきた人々の影響を、一身に受けて今があるのだなとしみじみ思った。全て蔑ろには出来ないのだと。2015/03/29

りつこ

31
翻訳家の方には感謝の気持ちしかない。いろいろな国の本をこんな風に楽しめるのは翻訳家のおかげ!特にラテンアメリカやスペインの小説がこんなに面白いということを教えてくれた木村先生は憧れの人で、すごいなーすばらしいなーとおもっていたんだけど、こんなにざっくばらんな方だったとは!謙虚で正直なエピソードに思わず笑顔になり、真摯に作品に向き合う姿勢に頭が下がり、あなたのお陰でこうして日本にいながら想像もつかないような世界に触れて心を震わせることができるのですと感謝…。何かを成し遂げる人は皆謙虚だ。2013/06/26

かもめ通信

28
初めて『黄色い雨』を読んだ時の衝撃は忘れられない。作者はもちろん、どこか知らない空間に迷い込んで漂う様なこの独特の世界を日本語で紡いでくれた翻訳者の名前も絶対に忘れないでおこう。そう思った。フリオ・リャマサーレスだけではない。ボルヘス、コリタサル、ガルシア=マルケス、リョサ、イザベル・アジェンデ、木村榮一さんと言えばスペイン語圏文学には欠くことができない翻訳家だ。読みたい本が増えることを覚悟の上で読み始めたエッセイだったが、小説だけでなく日本語や日本語と他言語との関係について書かれた本まで積んでしまった。2016/03/18

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