墓標なき草原〈下〉―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録

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  • サイズ B6判/ページ数 300p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000247726
  • NDC分類 222.6
  • Cコード C0022

出版社内容情報

文革時期にモンゴル族の5人に1人が「民族分裂主義者」とみなされ、公式発表でも3万人近くが殺害された内モンゴルで何があったのか。体験者への綿密な聞き取り、同時代資料、国内外の研究を渉猟し隠蔽されたままの過去を明らかにする。

内容説明

対日協力者が粛清されるや、革命聖地の延安出身のモンゴル人共産主義者までもが、「民族分裂主義者」として弾圧の標的となり、災厄はさらにその家族や係累へと及んだ。内モンゴルに大量の漢族移民が送り込まれ、粛清はより組織的かつ残忍なものとなり、草原は荒れた沙漠と化していく。やがて内モンゴルの文革は、一人のモンゴル人が「内通者」の罪人に仕立てられ結末を迎える。巨悪は闇に葬られ、恐怖の現実は忘却され、語ることすら許されない歴史。

目次

第3部 根元から紅い延安派(モンゴル人を殺して、モンゴル族の人心を得る―延安派に嫁いだオルドス・モンゴル人女性奇琳花;「モンゴル人虐殺は正しかった」―所詮は「地方民族主義者」にすぎぬ「延安派」オーノス;「モンゴル人がいくら死んでも、埋める場所はある」―大沙漠に散った延安派幹部アムルリングイ)
第4部 トゥク悲史―小さな人民公社での大量虐殺(「文明人」が作った巨大な処刑場―トゥク人民公社の元書記ハスビリクトの経験;「中国ではモンゴル人の命ほど軽いものはない」―家族全員を失ったチムスレン;「モンゴル人が死ねば、食糧の節約になる」―革命委員会主任エルデニの回想)
スケープゴートもモンゴル人でなければならない―息子が語る「抗日作家」の父ウラーンバガナ
視座 ジェノサイドとしての中国文化大革命
おわりに―オリンピック・イヤーの「中国文化大革命」

著者等紹介

楊海英[ヨウカイエイ]
モンゴル名オーノス・チョクトを翻訳した日本名は大野旭。1964年、内モンゴル自治区オルドス生まれ。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。89年3月来日。国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Willie the Wildcat

56
攻心の果ての因公死亡?!挙句(周恩来首相曰く)モンゴル虐殺は、目的は正しいが方法論の問題!?中国内モンゴル自治区での反革命分子の公開処刑の写真も壮絶。人間はどこまで残酷になれるんだろう・・・と、つくづく考えさせられる。真実に向き合う清算も、毛沢東一派に責任を押し付ける形で終結!?では、心の傷は残ったまま。結果、天安門事件の要因と推察されるのも論理的。一方、気になるのが国際社会の反応。民族問題は内政問題なのか、それとも国際問題なのか。単純に人権問題で考えるべきではなかろうか。2017/05/20

姉勤

9
答えが無い。あっても実行できなければ、それは答えではない。国連に訴えるのは無駄である。なぜなら、拒否権を持つ5カ国は自領で、または植民地で民族絶滅に近い大量虐殺をそれぞれ行い、肯定しているからだ。モンゴル人虐殺を指弾すれば、自らの歴史に跳ね返ってくる。故に、毛沢東の罪は認めても裁く事は絶対に無いだろう。しかし、解決にはならなくても世界に知らしめる事、次世代に伝える事は可能だ。「戦争はいけない」ではなく「人間は簡単に虐殺を行う」だから、何を行うべきか問い、学ぶ事。2013/09/28

yooou

7
☆☆☆☆★ こうした事実に目を背けてはいけない。そして決して忘れてはならない。2010/06/19

samandabadra

6
重い、非常に重い。どんどん人が虐待を受けて肉体的に精神的に壊れていったり、殺されていくところが描かれていて思わずページを閉じたくなるところがたくさんあった。恨みの気持ちで増幅されたところはいくつかあるとはいえ、これは幻想ではないのだと思うとぞっとする。モンゴルは大国にはさまれた状況の中で、国内だけでなくて国外に住む同胞たちにもこれだけの犠牲を強いて生き残ってきたのだということをもう少し知ってもらいたいものだとおもう。北のブリヤートと南の内モンゴルにこのような状況を強いていたということを。2010/09/21

紅井流星

4
この本に記載されいることがどのくらい真実であるか確認することはできない。しかし伝聞以外はすべて真実なのだろう。伝聞はさすがに真実とは思いたくない。ノンフィクションを読んで、この本がフィクションであることを生まれて初めて希望する。また南モンゴルはもちろんのこと、チベット・ウイグルでも現在進行系であり、過去のことではない。どこかの国が騒ぐ歴史認識ではない。このことも我々日本人を初め世界は、認識する必要がある。2014/06/17

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