内容説明
長年、経済的にきびしい状況におかれてきた母子家庭。肉声とともに、三〇年にわたる現状を伝える。また、著者は、当事者としての思いもこめて、母子家庭の“命綱”である児童扶養手当の大切さを説く。そして、老いをむかえた「母」たちのけわしい老後、「子」の教育がかかえている問題…取材を重ねるなかで、それらを描きだしていく。
目次
1章 母子家庭は、いま(派遣として働きつづけ、いま五〇歳;ワーキング・プアとしての「母」 ほか)
2章 昔もいまも、貧困(生別母子家庭は「最貧困世帯」;「死別」母子家庭対策からはじまる ほか)
3章 児童扶養手当の半世紀(一九六一年にスタート;広島で当事者たちの会が誕生 ほか)
4章 「母」の老後(年金は七万円;亡くなった仲間たちの老後 ほか)
5章 「子」のこれから(大学に受かった!;子どものときから、あきらめる ほか)
著者等紹介
関千枝子[セキチエコ]
ノンフィクションライター。1932年大阪生まれ。早稲田大学露文科卒業。毎日新聞記者、その後、全国婦人新聞の編集長となる。著書に『広島第二県女二年西組―原爆で死んだ級友たち』(筑摩書房、第33回日本エッセイストクラブ賞受賞、日本ジャーナリスト会議奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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速魚
13
専業主婦、パート勤務、扶養内での収入、 それでいいと思っていた。女性の労働力はこれまでずっと日本の経済を支えてきた、その安い労働力で。母子家庭、奨学金返済、年金... 死ぬまで働かないといけない。母子家庭じゃなくてもそうだ。 気が滅入るが、現実。 これから改善するかどうかは、政治にかかっているのか 自己責任で済まされるのか?国は広く深く救ってくれない。 自分でなんとかしなくてはいけない。未来に希望を持って生きたい。 2014/08/12
壱萬参仟縁
9
今朝も児童虐待死で両親が逮捕のニュース。気が重い。新自由主義やグローバル化の犠牲者の一部が母子家庭(ⅷ頁)。専業主婦願望にもなるわけだ。年金も3号の制度がどうなるか知らないが。一生フリーターの低賃金に落とし込められて這い上がれない社会で自立はないだろう。悪質な経済的いじめである。低賃金を温存したアベノミクスでは説得力はない。真っ先に賃金を上げるべきは非正規なのに、正社員からという順番が金持発想。講談社現代新書の新刊も覚えておきたい。同じ職場、仕事していても職場が不機嫌。奨学金制度も問題山積だ(110頁)。2013/04/25
tacchu
3
この国の漠然とした不安は安心して生活できないということなのかもしれない。それは母子家庭だけの問題ではないと思うが、現在切実な現状を抱えているのは、母子家庭が多いのだろう。このままじゃ本当にまずいと思う。私たちの年代は若い人が夢を持てる社会にしていく責任があると感じる。2010/11/18
最終バック九番手
2
障害者福祉の現場と同じようなというか重なっている部分も多い話がギュッと詰まっている本…裁判を起こして戦い続けるというのは現実には絵空事なので結果として雇用者側の違法行為に対して泣き寝入りするしかないのが日本の現状だということがよく分かった…第1刷発行:2009年11月6日…本体1600円2010/07/15
tu-ta
2
読むとありそうな話なのだが、なかなか報道されない、丁寧に取材しなければ見えてこない現実がある。2010/02/27
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