内容説明
国際的な大学都市ケンブリッジには、日本軍による捕虜虐待の悪夢に苦しむ元兵士たちが多く住んでいた。和解を求める人、拒絶する人―憎悪と赦しのはざまで、戦後世代の著者は元捕虜たちの話を聞き、彼らの生活に寄り添ううちに、誤解と理解が織りなす記憶の文化変容を体験する。やがて捕虜たちは日本を訪問し、かつての敵だった元日本兵たちと交流し、一九九八年の天皇・皇后の訪英を迎える。その舞台裏で何があったのか、当事者が物語る、日英和解をめぐるノンフィクション。
目次
第1部 記憶の街で(ケンブリッジの二つの顔;記憶の日曜日;癒しの天使か 記憶のテロリストか;二つのプロジェクト)
第2部 交ざりあう糸口(日本大使館;街と大学;ジェリーの青い壷;和解のポリティクス)
第3部 記憶の紡ぎ手 歴史の織り子(ナガサキ;元捕虜と日本大使;日英捕虜会議;日本への招待)
第4部 記憶の縦糸 和解の横糸(灰の水曜日;靖国訪問;天皇訪英;「ラトリーン」―ジャック・チョーカーの絵)
著者等紹介
小菅信子[コスゲノブコ]
1960年生まれ。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了満期退学、ケンブリッジ大学国際研究センター客員研究員を経て、山梨学院大学法学部教授。近現代史・国際関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わい
2
読み途中だけど図書館返却につき一旦登録💦 Twitterでご本人が自薦してたので気になって読み始めたけど、面白い~。献花が新聞に載ってから、筆者が大変な状況になっていくさまは、ワクワクハラハラしながら読んでしまった。そして日英にそんな問題があったのを知らなかった…。軽々しく口にしづらい和解問題について、真っ正面から向き合っていく、筆者の姿に好感が持てました。2022/02/27
ダニアン
1
分かりやすかったけど、なんか腑に落ちない。そもそも腑に落ちるべき事では無いんだろうけど。うーん(-ω-)2010/10/23
メルセ・ひすい
1
10. 25 赤いポピー タイ・ビルマ戦線 アーロン収容所 捕虜として日本軍の虐待を受け、毎夜悪夢にうなされる英国の男たち。彼らにとって「和解」はあったのか? 1998年の天皇・皇后の訪英の舞台裏など、当事者が物語る、日英和解をめぐるノンフィクション。 2008/08/26