ポスト世俗化時代の哲学と宗教

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  • サイズ B6判/ページ数 129p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000247580
  • NDC分類 160.4
  • Cコード C0010

出版社内容情報

2004年1月、現代を代表する哲学者と当時枢機卿であった現ローマ教皇とが討論会を行った。「自由な国家における政治以前の道徳的基盤」をめぐって二人がそれぞれの立場から行った報告に、訳者による解説論文を付す。

内容説明

二〇〇四年四月一九日ミュンヘン。現代を代表する哲学者ユルゲン・ハーバーマスと当時枢機卿であった現ローマ教皇ベネディクト一六世とが討論会を行った。宗教を政治社会の中で正当に位置づける必要性が明らかとなった今日の“ポスト世俗化”時代を象徴する出来事である。本書は、「自由な国家における政治以前の道徳的基盤」をめぐってそれぞれの立場から行われた当日の講演に、両者の議論の歴史的社会的背景に焦点をあわせた訳者解説を付す。

目次

民主主義的法治国家における政治以前の基盤(世俗化された立憲国家の、実践理性を源泉とした基礎づけ;国家公民の連帯はどのようにして再生産されうるのか;社会的な紐帯が切れてしまうならば…;二重で相互補完的な学習過程としての世俗化;信仰を持った市民と世俗化された市民がどのように交流したらよいのか)
世界を統べているもの―自由な国家における政治以前の道徳的基盤(権力と法;権力の新たな形態、その抑制に関する新たな問い;法の前提―法‐自然‐理性;異文化対話とその帰するところ;結論)

著者等紹介

三島憲一[ミシマケンイチ]
1942年生。東京経済大学教授。ドイツ思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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壱萬参仟縁

11
デモクラシーにもとづく憲法を持つ法治国家は、自分の利益を考える社会市民に対して消極的自由を保障するだけでない。コミュニケーション的自由が躍動し、誰にとっても無視できないさまざまなテーマについて公共の論争に国家公民が参加するよう促す(ハーバーマス10頁)。重要なことは、文化的空間の内部は、空間も自分の文化的伝統の内部の深刻な緊張によって形成されている点(ラッツィンガー41頁)。現代日本は、今日、東京都知事選でその民主主義の程度や、公共の意味、文化伝統など、各人の争点に加えて審判が下される。結果に注目したい。2014/02/09

いとう・しんご singoito2

5
渡部奈々さんのアルゼンチンカトリックについての本に言及があり借りてきました。ハーバーマスは皆さんご存じ、ラッツインガーは後のベテディクト16世。両者の対論と、ほぼ同分量の訳者解説。ハーバーマスの議論は、彼の思想のダイジェストとしてとっても便利。ラッツインガーについては訳者解説が丁寧に背後に潜むパターナリズムを指摘してくれている。個人的には戦後のハイデガーを「分けわからない」P109と指摘する訳者解説に喝采を送りました。120ページくらいの本で、手軽に読めるのでお奨めです。2022/04/07

コウ

2
前半はハーバーマスとラツィンガーの対談の際の講演内容だが、後半にある訳者による解説から先に読んで、正解だった。時代背景や二人の人物像、論点などが良く分かり、面白い。二人の講演部分だけでなく、その後の討論の内容も載せて欲しかったが、非公開とのことで残念。2013/03/16

onisjim

1
収録された文章は討論会の冒頭講演ということもあって、ハーバーマス、ラッツィンガーともに短い。おもにラッツィンガーとカトリックの思想・動向を概観した訳者解説がむしろ本編といった印象。それでもなかなか興味深く読めた。2013/05/26

遠山太郎

1
ハーバマスと現ローマ法王の対談。要熟考。解説が良い。ホセ・カサノヴァの宗教政治学に基づく戦後カトリック史はもっと注目すべきだろう。次の内容なのに絶版とか。 私事化の推測に対し普遍化して再公共化、グローバルに自由民主主義を広めている、これを事例に応じて論ずる。 2012/10/17

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