内容説明
「〓(ぼく)東綺譚」から抜け出してきたかのような不思議な女性、雪子。フランス語を教えながら、燈火管制の暗い部屋で、荷風は何を語っていたのか。
目次
文人の曝書
フランス語の弟子
晩年の交遊
著者等紹介
高橋英夫[タカハシヒデオ]
1930年(昭和5年)に生まれる。文芸評論家。東京大学文学部独文科卒業。1985年『偉大なる暗闇』で平林たい子賞、2010年『母なるもの―近代文学と音楽の場所』で伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kero385
6
「断腸亭日乗」を初めて読んだ時、私は「曝書」という言葉が妙に気になった。「曝書」とは定期的に行われる本などの虫干しのことだが、高橋英夫氏のこの著作は、その「曝書」に「文人」たらしめる要素を見出し、それを端緒に、他にフランス語の私的教え子である若い女性、荷風を尊敬してやまない内なる弟子である友人という三つのレンズを通して「文人」としての荷風を、ほぼ「断腸亭日乗」(第二章では「濹東綺譚」も一部引用されるが)だけを使って描き出した本。永井荷風を論じた本数あれど、高橋氏らしい視点を設定したユニークなご著書である。2024/11/18
h・kawabe
3
ちょうど荷風の日記を読んだあとだったので、とても興味深く読んだ。この人の本は初めてだったが、これから探して読みたい。研究対象である荷風に対して、ていねいなリサーチの下に、新しい発見を示しながら、しかし、決して自分の意見を声高に主張するのでなく、どこまでも研究者とその対象である作家の距離を忘れない、真摯な態度に惹かれた。 2013/06/08
yanapong
2
相磯凌霜が荷風について語った言葉より「先生はいつでも、相磯君、無駄な本を読まなくてはいけないよ、と口ぐせに云っておられ、今は無駄な本を読む人がいなくなって、何でもしようとすることに、その関係ある本のみを読めばそれだけですむのですが、そうではなく、唯本が好きで目的なく本を読むことがどれくらい大事か、私は先生にこのことを教わり、生涯の座右の銘としております。」然もありなん。2016/11/21
takao
1
ふむ2024/11/07
iwasabi47
1
「曝書」「女弟子」「パトロン」2022/07/12
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