出版社内容情報
仏教といえば「ほとけ」さまが浮かんでくるが,ブッダの時代は,悟りを目的とした「個」の宗教だった.それがなぜ大衆的な救済の宗教(如来思想)となったのか.日本人のよく知る「仏語」を手掛かりに,地域や時代を経る中で,原点であるブッダ(インド思想)からなにが残され,なにが新たに託されたのかを読み解いてゆく.
内容説明
仏教といえば「ほとけ」さまが浮かんでくるが、ブッダの時代は、悟りを目的とした「個」の宗教だった。それがなぜ大衆的な救済の宗教(如来思想)になったのか。日本人のよく知る「仏語」を手掛かりに、地域や時代を経る中、原点であるブッダ(インド思想)からなにが残され、なにが新たに託されたのかを読み解いてゆく。
目次
ブッダから(無明;ヨーガ;慈悲;空)
ほとけへ(浄土;如来;マンダラ;色即是空;仏性;供養;禅;念仏)
著者等紹介
立川武蔵[タチカワムサシ]
1942年名古屋市生まれ。国立民族学博物館名誉教授。インド哲学・仏教思想史。名古屋大学文学部卒業後、ハーバード大学大学院博士号。名古屋大学文学部教授、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学教授、愛知学院大学文学部教授を経て、現在に至る。中村元東方学術賞・紫綬褒章受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nizimasu
4
原始仏教が日本にたどり着くまでには大きな変遷がある。根本分裂も含めてそのキーワードや仏教の根本的な理論について解説しているのですがこれが仏典を軸にどのように展開していったかということに着目していてブッダがその存在から仏典を通して概念化していくこと。さらには厳正から過去生や未来性までを包括した宇宙の原理も解説していてとてもまとまっていてうなるばかり。中でもヨーガやマンダラと言った実践としての仏教の意味とか瞑想についての手法の違いについてはかなり本格的な解説で身体技法としての変化についてとても参考になった2016/02/21
Go Extreme
2
否定を通じての蘇り 現代危機と仏教の意味 無明、人間の根本迷い 縁起と十二因縁、苦のしくみ 四聖諦と八正道、ブッダの教え ヨーガ、心作用統御と三昧 ブッダの四禅、悟りへの道 慈悲とジャータカの自己犠牲 空、ナーガールジュナと無自性 縁起即空、否定と蘇り 浄土教とバクティ信仰 阿弥陀仏と極楽浄土希求 如来、ブッダ観と三身説 マンダラ、密教宇宙図と儀礼 色即是空、般若心経の核心 仏性、衆生成仏の可能性 如来蔵思想と仏性 日本の供養、万物への命 禅、自然一体と無心 念仏、他力と自己否定 親鸞の悪人正機と絶対他力2025/05/25
按摩沙弥
0
原始経典から俯瞰すれば、異端視される日本仏教、特に浄土教の帰依の実践。目覚めの実践から救いの帰依に変遷した矛盾について簡明に説かれている。ブッダよりもほとけに親しみを感じる日本人の心性と、ヨーガの長い歴史を持つ、インド人の心性が、遠くて近しい関係であった。2017/04/05