出版社内容情報
終焉が言われるとき,そこで終わろうとする文学とは一体何か.言語空間としてのその特異な位相を,大革命後フランスを舞台に探り出そうとする.詩や建築のような共同性の表出でもなく社会性から陥没した個の表現でもない「文学の散文」.今日の文学理論と対話しつつ,一切の
内容説明
「終焉」に達した“文学”の歴史性を、かつてない視点から解明し、“文学”という固有の様態を描き出して未来へと開く力作評論。十八世紀と十九世紀の変わり目に、新たな生を得た“文学”という名辞には、生から死への歩みがプログラムされていた。それを規定した諸条件を、詩の“充溢”や建築の“モニュメント性”との関係のうちに探り、社会の“肉”やアルケーとしての“幾何学”から逃走する文学の、非実体的な領分を画定する。ジャック・ランシエールの批評を基点に、表象論・テクスト論・メディア論と対話しつつ、文学の内と外の、絶対性と歴史性の境=間を精密に記述する批評の文体。作者という物語にもテクストの科学にも還元されない運動として、たえまなく往還する“擬”の“シリアスさ”を演じた文学、その「死」を自らの文体に担おうとする、新しい批評の冒険。
目次
序章 “脳”は何を説明するのか?
第1章 社会の肉と言葉の過剰
第2章 語る建築から拡散する紙へ
第3章 科学とテクスト
第4章 連続と断絶、あるいはカッコの内と外
第5章 古典主義と未開人
第6章 文学の生と死
第7章 文化と植民地