内容説明
旧軍部の暴走を教訓として成立し、自衛隊のあり方を厳しく規定してきた日本の文民統制。しかし自衛官や政治家からの見直し論が相次ぐいま、文民統制が根底から問われている。自衛隊の合憲・違憲の議論に隠れてあまり議論されることのなかった文民統制の仕組みと歴史を辿りながら、自衛隊を真に私たちの統制下におくための方途を探る。
目次
第1章 文民統制(シビリアン・コントロール)とは何か(日本における文民統制の始まり;なぜ、文民統制(シビリアン・コントロール)が必要なのか)
第2章 文民統制逸脱の戦後史(文民統制逸脱の戦後史を辿る;正面攻撃に晒される文民統制)
第3章 誰が自衛隊を統制するのか(文民統制の骨抜きに奔走する制服組の思惑;日米軍事共同体制の強化と見直し論の関係)
第4章 あるべき文民統制のかたちとは(文民統制をめぐる戦後論議の中身;どのようにして防衛論議を深めていくのか)
著者等紹介
纐纈厚[コウケツアツシ]
1951年岐阜県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。山口大学人文学部教授。専攻日本近現代史。政治学博士
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感想・レビュー
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風見草
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日本の文民統制は、イギリスのような議会統制、アメリカのような大統領統制が確立していないとしています。日本では文民統制というと、専ら文官統制…いわゆる背広組の制服組に対する優越という官僚統制といえる独特のスタイルをとってきた経緯が分かりました。2011/02/06
凡人太郎
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感想ね~。一応読みました。2012/12/12
ヒトハバレイ
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伝統的な(換言すれば古臭い)政治学的政軍関係論に終始し――本文ではハンチントンの批判まで飛び出している――近年の市民社会と軍隊社会の相互理解を目指す立場に立つ社会学的アプローチが全く欠けており、政治学者が政治学的手法のみに頼ることの限界が露呈する。自衛隊内に漂っているシビリアン・コントロールへの強烈な不信感と、文民統制の歴史を旧軍と比較して学ぶ参考程度にはなるが、真実現状を踏まえた解釈が為されているかという点でかなり疑問を覚える。この本の論調こそ文民統制への不信を生む源泉だと筆者は気づいていないのか。2012/07/20