出版社内容情報
美しい桜やバラは、なぜ自らの命を大義のために捧げることを強いるプロパガンダの道具になったのか。
内容説明
日本における桜、ヨーロッパにおけるバラ―美や友愛、郷土愛の象徴として親しまれてきた美しい花は、なぜ人々に自らの命を国家や大義のために捧げることを強いる政治的プロパガンダの道具になったのか。コミュニケーションの不透明性と複雑さが「人殺しの花」を生み出してゆく仕組みを、様々な事例を通して解き明かしてゆく。
目次
象徴的コミュニケーションの不透明性と複雑さ
第1部 多義性―プロセスの中で規定される象徴の意味(日本の桜の花;ヨーロッパ文化圏におけるバラ;米と日本人の集団的自己―排除にもとづく純粋さ)
第2部 集団的アイデンティティとその象徴表現(集団的自己と文化的/政治的ナショナリズム―比較的視座より)
第3部 (非‐)外在化―宗教的・政治的権威/権力(見えない、聞こえない日本の天皇;宗教的・政治的権威/権力の(非‐)外在化)
著者等紹介
大貫恵美子[オオヌキエミコ]
神戸市生まれ。津田塾大学卒業。1968年、ウィスコンシン大学人類学博士号取得。現在ウィスコンシン大学ウィリアムF.ヴァイラス研究専任教授。アメリカ学士院正会員。2014年、La m´edaille du Coll`ege de France受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
20
シンボルはわかりやすい。言葉を多く使用して説明するよりも、ひとつのシンボルが存在の意味をズバリと伝えるのに効果を発揮する。と同時に、シンボルであるがゆえの多くの意味がそこには本来込められている。本書は、日本における桜、スターリンやヒトラー、毛沢東などが用いたバラ、その花の象徴性がいかにプロパガンダに利用されてきたかを論じている。桜は、美しく咲くという象徴性において武士道に結び付けられてきたが、やがて軍国主義体制のもとで美しく散るという象徴性へと転移し、特攻隊のシンボルとして利用されるようになる。(つづく)2020/07/10
takao
1
日本における桜、ヨーロッパにおけるバラが政治的プロパガンダに2024/09/28