出版社内容情報
2017年ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル平和賞授賞式でスピーチを行ったサーロー節子さん。広島での被爆経験、国際的な反核運動との連携、若い世代へのメッセージなど、不屈の生涯の全貌を伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はづき
16
私もノーベル平和賞受賞スピーチでの「光に向かって這って行け」に感銘を受けた一人。私が学生の頃(10数年前)は、国連って会議はしても拘束力はないって言われていたのに、いつの間にかこんなに市民社会が力を持つようになっていた。それも自然現象ではなく、草の根の市民や非同盟諸国の努力があるからなのだけれど。それを、一人の女性の半生の形で追える一冊。あとがきの編者をされた中国新聞の記者の方の率直な自戒も考えさせられる。善意では見えなかったものを、サーロー節子さんに教えてもらいつつ、まだ明確に言い切れないところが。2020/01/03
Yasuhisa Ogura
3
著者は、反核運動家でノーベル平和賞の授賞式でICANを代表してスピーチしたサーロー節子さん。広島での被爆経験からカナダへの移住とそこでの反核運動、そして国際的な反核運動への取り組みなどが描かれている。本書を読み始めると著者は特別な人間なようにも見えてしまう。しかし、読み進めていくと彼女は特別なミッションを不屈の闘志で選択し続けたことが伝わってくる。反核運動に取り組む人だけでなく、なにか大きな目標を成し遂げたいと思っている人にも、大いに参考になると思う。2019/12/02
トト
3
反核運動に邁進した被爆者の半生を描く自伝。1945年の広島で起きたことから始まり、被爆体験の講演 、反核運動、核兵器禁止条約、ノーベル平和賞受賞と、彼女の人生はあまりに濃くエネルギッシュである。 今なお世界に大量の核兵器が存在し、保有国は抑止力の名の元に手放さない。唯一の被爆国である日本が、核廃絶に消極的であることに心が痛みます。 巻末に、ご本人と世界情勢の年表がありますが、そこに被爆○○年の記載が重い。 2020年被爆75年。被爆者が語れる時間は、もう僅かしか残されていない・・・2019/10/19