他人(ひと)まかせの自伝―あとづけの詩学

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  • サイズ B6判/ページ数 160p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000245098
  • NDC分類 970.28
  • Cコード C0098

出版社内容情報

パリのカフェの小さなテーブルで,ふと耳元によみがえった亡き父の声.それは夢で聴いた声であり,そこからある物語が生まれた──.現代世界文学の旗手として注目される著者が,自作を手がかりに創作の契機を綴ってゆく.フィクションと現実を行き来するように語られるエッ

内容説明

パリのカフェの小さなテーブルで、ふと耳元によみがえった亡き父の声。それは夢で聴いた声であり、そこからある物語が生まれた―。世界文学の旗手として注目される著者が、自作を手がかりに創作の契機を綴る。フィクションと現実を行き来するように語られるエッセイ。

目次

『レクイエム』について(一音節のなかの宇宙―ある小説をめぐるさまよいの記録)
『ペレイラは証言する』について(ペレイラの出現)
『遠い水平線』について(それにしてもスピーノ氏はなぜ笑うのか;検死)
『ポルト・ピムの女』について(迷宮炎;かつてのクジラ。帰還のタンゴ)
『いつも手遅れ』の周辺で(ネット上で;他人まかせの自伝先立つ未来―欠けた手紙;ある写真の物語)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マリカ

31
~ときとして、一音節のなかにはひとつの宇宙が広がっていることもある~ 読者のためにタブッキが自身の作品の創作の源流への旅を用意してくれた。「本は膨張を続ける小さな宇宙である」というタブッキの言わんとすることがこれらのエッセイからよく分かる。後づけのエッセイは、膨張した宇宙の中で、オリジナルの作品とは異なる次元に漂う別の物語のよう。特に「レクイエム」と「いつも手遅れ」の章が素晴らしかった。2012/10/19

29
本書はタブッキが自作小説について語った批評的エッセイ集である。『レクイエム』について、『ペレイラは証言する』について、『遠い水平線』について、『ポルト・ピムの女』について、それに加えて、『いつも手遅れ』の周辺で、の5つのエッセイが収められている。わたしはタブッキの作品の中で『遠い水平線』が一番好きなので、『遠い水平線』について書かれたエッセイがあることが嬉しかった。ただタブッキの作品の内容をことごとく忘れているので、これを読んで、もう一度タブッキの作品を再読したくなった。再読した後、またこの本を読みたい。2025/03/23

かもめ通信

25
書評サイト本が好き!に登録したレビューが1000本になるのを記念して、大好きなタブッキを再読。やっぱりタブッキ最高!2016/03/03

ぞしま

22
再読。自伝というよりは自作解説という趣き。自身も一読者とする距離感が心地良く、引用の豊富さにも舌をまく。<あとづけ>と銘打つあたり、皮肉が多分に効いているが、読んでみると自身のテクストに対して真摯に取り組むタブッキの姿が見えてくる…。読みどころは『レクイエム』と『いつも手遅れ』の章。すこぶる面白かった。父の病、自動書記、夢、声…これらの話から、<書く>へ至る道は、タブッキ小説の真髄に触れる思いであった。ペレイラにモデルが居たという話も泣けますね…2016/09/25

長谷川透

19
自らの著作誕生の秘話を明かし、ある種のもどかしさを読中に覚えてしまうタブッキ作品の種明かしを示唆しながらも、タブッキの語る秘話の断片もまた、肩透かしをくらったような感を覚え、しかしながらそれでもまた、心地よいもどかしさを覚えてしまうという、不思議な書である。2012/11/16

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